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症例紹介

症例106 非結核性抗酸菌症(肺NTM症)による咳・血痰に漢方薬が奏効した症例

相談内容

相談者:70代後半 女性
相談内容:非結核性抗酸菌症による咳と血痰を改善して欲しい

6〜7年ほど前に、咳に伴う血痰が出ました。

病院で検査をしたところ、非結核性抗酸菌症との診断を受けました。

複数の抗生剤を使って治療を試みたのですが、副作用が強すぎて数ヶ月で服用を止めることになりました。

病院の先生からは、「今は症状が強くないのでこのまま様子をみましょう」と言われ、現在は経過観察中です。

ですが、たまに軽い咳をすると血痰が出てくることがあります。

趣味でコーラスを長年続けてきましたので、血痰が出てしまうと周りの人に迷惑がかかってしまうので、大好きなコーラスが続けられません。

普段の咳もさほど多くはなく、痰もあまりありません。

ですが、1ヶ月に1〜2回の血痰が出て、その度に病院で出血を抑える薬を処方してもらっている状態です。

なんとか血痰だけでも治らないかと、漢方薬の力を借りたいと思い来局しました。

処方選択

非結核性抗酸菌症は「結核」という文字が入っていることから、少しゾッとするかもしれませんが、結核とは異なり人から人へと感染しないこと、また症状の進行がゆっくりなため直ちに命に関わるような病気ではありません。

痩せ型の中高年女性に多く見られるようで、今回の症例の女性もまさに典型的な痩せ型タイプに該当します。

この方の場合は、抗生剤での治療が困難であり、なおかつコーラスという趣味を続けたいために漢方薬をお求めになられました。

漢方治療では、非結核性抗酸菌症という病名でただちに漢方薬が決定されるわけではありません。

やはり、いつも通り体質や症状を考慮しながら、丁寧に病態を把握していくことから始めます。

咳の状態は乾いているわけではないですが、かといって痰もそこまで多くなく、湿痰〜乾咳の中間あたりでしょうか。

ですが、血痰が出るということは、のどや気管支の粘膜の血管が切れてしまっている状態です。

つまり、気道を保護する粘膜が弱っている状態で、東洋医学では陰虚に該当します。

長年の咳嗽によって陰虚が助長されて、気道の粘膜が弱体化してしまっている状態です。

合わせてもともとの身体も細くて華奢であり、年齢も重ねられていることもあり、体質的にも陰虚体質です。

ということで、漢方薬では陰虚に適した漢方薬をお出ししました。

処方)麦門冬湯+α

普段の漢方薬はこちらを用いました。

服用始めてから数ヶ月の間に、血痰は1回だけになりました。

血痰が出た時だけ血痰用の漢方薬に変更して、あとは上記の漢方薬を使っています。

その後も服用を続けたところ、血痰の頻度が減少し、3年ほど服用するとまったく血痰が出なくなりました。

6年以上経った今でも漢方薬の服用頻度を減らしながらも、継続して順調な経過を辿っています。

まとめ

非結核性抗酸菌症でのご相談でしたが、状態も安定しており今でもコーラスを続けられています。

漢方薬で非結核性抗酸菌が完治できているかどうかはわかりませんが、少なくとも咳や血痰などの状態をコントロールできています。

今後も状態を見つつ、適切に対処していきたいと思います。

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今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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