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症例紹介

症例60 子供の花粉症に越婢加朮湯

子供の花粉症は以前より増えているとされ、当店でも大人だけでなくお子様の花粉症の相談も増えてきています。
漢方薬は花粉症に素早く反応が出るので、効果の判定がしやすいです。
その分、患者様の情報から的確な処方を選別する必要があります。

3歳 男児
相談内容:花粉症による目の痒み・目の腫れ

3月初め頃から、目の周りを掻きはじめ目の周りが赤くなってきました。
次第に目の周りが赤く腫れてきて、目も少し充血してきました。

鼻水は少量で色は透明であったり黄色であったり、バラバラです。
鼻づまりや咳などはありません。

処方選択

花粉症は大人であろうと子供であろうと、基本は外邪(体の外からやってくる病気や異物)によって発症します。
そのため、花粉症状を軽減するためには外邪(花粉)を適切に処置することが大切です。

ですが、注意しないといけないのは花粉=外邪だからといって、すべて同じ処方で対応できるわけではありません。
スギ・ヒノキ花粉は主に1月〜5月初旬頃まで続きます。
1月頃の気候(気温・湿度など)と5月の気候は大きく異なります。
それに伴い、花粉症状も変化していく可能性があります。
今年の3月は20度近くまで上がって、暖かい日が続いていました。

加えて、個々の体質(冷え症・暑がりなど)によって、同じ気候で発症する症状は異なります。
一般的に子供は陽(熱)の性質のため、熱症状が起きやすいです。

これらを勘案して症状を見ると、目の腫れや赤みなど見事な熱症状を呈しています。
ですので、体表面の熱を発散して炎症を鎮める処方をお出ししました。

処方:越婢加朮湯

数日分お出ししたところ、目の腫れはひき赤みも鎮まりました。
ただ花粉は常に飛んでいるため、目の痒みはときおり生じているようです。
現在も引き続きお渡しして、服用していただいております。

花粉症の漢方薬治療の詳細については下記よりご覧ください。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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