梅の花といえば2〜3月頃になりますが、梅の実を収穫するのは5月末〜7月頃、本記事を執筆しているちょうど今頃です。
熟す前の「青梅」を収穫するのであれば、5月末〜6月上旬、黄色く熟した梅は「完熟梅」と呼ばれ、6月中旬〜7月上旬頃にかけて収穫されます。
青梅の場合は、梅酒やシロップ漬けなどに使います。
我が家でも先日青梅を買ってきて、早速梅酒を作っているところです。
ただ、青梅にはアミグダリンという天然の毒素が含まれているため、生で食べると下痢や頭痛、めまいなどを起こす危険性があるので、注意が必要です。
梅は食品として使われることが多いのですが、日本においては最初は薬として使われていました。
梅の薬としての活用 / 烏梅(ウバイ)について
梅は元々は日本にはなく、中国から薬として入ってきました。
梅の薬の効果を実感した我々祖先が中国に梅の木(種?)を依頼したことで、梅が入ってきました。
梅を薬として使うときは、青梅を燻製や黒焼にしたり、すすをつけたりして作られます。
生薬として使う場合の梅は「烏梅(ウバイ)」と言います。
烏梅には収斂(シュウレン)作用といって、ぎゅっと引き締める作用があります。
酸っぱいものを食べると口がぎゅっとなりますよね。
口をぎゅっと引き締めることで、唾液をいっぱい出しているのです。
こうやって文字に起こしているだけでも、唾液が出てくるくらいです。
その烏梅の収斂作用を生かして、咳を止めたり(咳が漏れ出るのを鎮める)、下痢を止めたり(肛門を引き締めて便の漏れを防ぐ)、小便、とりわけ尿もれ、失禁など漏れ出てくるのを止める作用があります。
先ほども少し触れましたが、烏梅にはアミグダリンという成分が入っていて、これが鎮咳(チンガイ)作用といって、咳を鎮めるのに有効な成分であると言われています。
他には、身体の熱を冷ます作用があったり、汗腺を引き締めて過剰な汗をとどめて、脱水を防ぐ作用があります。
まさに、これからの夏場にうってつけの作用といえます。
あとは、今は使うことはないのですが、駆虫(クチュウ)作用があります。
駆虫作用とは、読んで字の如く、虫を駆除する働きがあります。
昔は蛔虫(かいちゅう)といって、ヒトや多くの哺乳類の小腸に寄生する線虫類(寄生虫)がいて、腸の中で暴れ回ることで腹痛や嘔吐などを起こしていました。
これら蛔虫は酸味が苦手で、烏梅を用いて蛔虫の活動を抑制して鈍らせるのに使っていたりもしました。
ただ、現代の日本では烏梅を漢方薬として使うことはあまりなくて、私自身も一度も使ったことがありません。
その代わりに、烏梅によく似た効能をもつ生薬である五味子(ゴミシ)を一般的に使っています。
五味子が入った漢方薬として有名なものとして、「小青竜湯(ショウセイリュウトウ)」があります。
花粉症の時期にもっとも使われる漢方薬が、小青竜湯です。
小青竜湯はアレルギー性鼻炎の鼻水を抑えるのに用いたり、気管支喘息の喘鳴や咳を抑えるのに使います。
小青竜湯に入っている五味子の収斂作用の引き締めで鼻水や咳をぎゅっと抑えてくれているわけです。
・収斂作用:引き締める作用により、汗・便・咳などの異常を改善する
・清熱作用:身体にこもった熱を冷ます
・駆虫作用:蛔虫などの寄生虫の動きを抑える
梅の日常生活での活用
烏梅は漢方薬としてはあまり使われていないのですが、梅は薬膳や民間薬として広く活用されています。
その一つに、梅肉エキスがあります。
市販でも売られていますが、ご自宅でも簡単に作ることができますので、ぜひ作ってみてください。
作り方は調べていただければたくさん出てきますので、ここでは簡単にご紹介するだけにします。
「青梅」をすりおろして、それをこしたあと、弱火で1時間程じっくり煮詰めます。
梅の色が黒色に変わって、水飴のような粘り気が出てきたら完成です。
夏場の食あたりや下痢の時に梅肉エキスを1日スプーン1〜2杯とっていただければ結構です。
梅の収斂作用によって下痢を止めてくれます。
まだ汗がたくさん出過ぎて、体が疲れてしまった時にも効果的です。
とりわけ、これから暑くなって汗をいっぱいかく季節には梅が大活躍してくれますので、ぜひ日常に取り入れてみてください。
参考書籍
『生薬とからだをつなぐ / 鈴木達彦』P42-43
『漢方のくすりの事典 / 鈴木洋』P27
『くらしの生薬 / 後藤實』P15-18
『医師が教えるゆる漢方 / 板倉弘重』P38,39








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