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症例98 疲れ・だるさがとれない状態に漢方薬が奏功した症例

相談内容

相談者:40代後半 女性
相談内容:疲れがとれなくて、常にぐったりしているのをなんとかして欲しい

ここ数ヶ月ほど、特に疲れを感じるようになりました。
仕事から帰ってきても、家事になかなか取りかかれず、とりかかかったとしても時間がかかってしまいます。

寝ても疲れがとれず、休日もあまり出歩かなくなってしまいました。
ダラダラしてしまうことが多く、寝る時間も遅くなってしまい睡眠時間も少なくなっています。

来月には職場の部署異動が決まっていて、不安が強くなると同時に焦燥感やイライラもするようになり、情緒も不安定になってきました。

また、疲れやストレスのせいか過食気味になり、ここ1年で10kgほど体重が増えてしまいました。
そのせいか、オナラが増えてガスの匂いも気になるようになってきました。

なんとかこの負のループから抜け出して、新しい部署でも良いスタートを切れたらと思い、相談にきました。

処方選択

現代において、疲れがまったくないという方は少数ではないでしょうか。
濃淡はあるにしろ、毎日はつらつと過ごすことは極めて困難かと思います。

そんな疲れの特効薬があるのであれば良いのですが、なかなかそんな甘い話はありません。

疲労や倦怠感に用いるとされる代表的な漢方薬として「補中益気湯(ホチュウエッキトウ)」がありますが、症状だけに当てはめて漫然と使用しても効果は限定的です。

ですので、基本に忠実に一人一人の体質を東洋医学の視点でしっかりと見定めることが必要となります。

今回のようなケースは、決して珍しいことではありません。

食欲があってしっかりと食べられているのに疲れてしまうということで、根本的な胃腸の弱りはありません。

そのため、補中益気湯に代表されるような「脾胃(ヒイ)」、つまり胃腸の弱りを立て直すような漢方薬は適当とはいえないでしょう。

ここで一番の問題は、「疲れやストレスからくる過食と体重の増加」になります。

過食による胃腸の負担で消化が円滑に行えず、本来ならエネルギーになるべきものがエネルギーに転化されずに、不要なものとして(脂肪)身体に固着してしまっています。

そのせいで、身体が重だるくなり疲れが取れなくなってしまっています。

もう一つは、過度なストレスと身体の緊張感です。

もともと神経質な性格であり、日々の生活でもストレスを感じやすいようです。
さらに、今まで経験したことがない部署への異動というストレスが心身に大きな影響を与えています。

したがって、疲労の原因は「過食、ストレス、体重増加」になるので、漢方薬での対策は以下の3点になります。

処方選択のポイント
1.過食を鎮める
2.食べ過ぎによる不要なものを取り除く
3.過度なストレスや緊張を緩和する
これらを配合した漢方薬を処方しました。
服用して2週間頃から、気持ちにも少し余裕が出るようになり、食事の量も減らせるようになってきました。
ただ、部署移動した直後は少しリズムを崩してしまいましたが、すぐに立て直し職場にもスムーズになれていけるようになりました。
その後も服薬を続け、ちょうど1年くらいしたところで、体重も減少し(まだ4〜5kg減少のみ)、以前の生活リズムに戻せたので服薬を終了しました。

まとめ

疲労倦怠感は、現代病の一つとも言えます。

この疲労倦怠感は昔のように、栄養不足による飢餓というよりも(ある意味では栄養の偏りも大きい)、生活リズムのひずみが原因で引き起こされているものと言えます。

そのため、漢方薬やサプリ等で一時的に疲労や倦怠感を和らげても、生活習慣の乱れが残っている状態だとすぐに元に戻ってしまいます。

疲労倦怠感の根本的な解決は、「食事・運動・睡眠・ストレス」を含めた生活習慣を見直すことにあります。

ただし、個々人のライフスタイルは異なっているので、万人が同じような生活習慣を目指してもうまくはいかないことが多いです。

お一人お一人の置かれている環境を考慮しながら、その状況に合わせた最適解を目指していくことが大切なような気がします。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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