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症例紹介

神不安と吐きに半夏厚朴湯

相談内容:1日に何度も生じる吐き気(女性)

3年ほど前、コロナに感染したあと、1日に何度も吐き気を催すようになりました。
その度に、ドンペリドン(吐き気止め)を服用して、なんとか毎日をやり過ごしている状況です。
実際に吐くことはないですが、油の匂いや水を飲んでも吐き気を生じます。
病院からは半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)という吐き気によく用いる漢方薬を処方されるも、効果はないようです。

もともと、精神不安を持ち合わせており、電車に乗ることや人混みも避けているようです。
やや便秘がちですが、下剤を使うと下痢をしてしまいます。

処方選択

コロナに感染したことが直接的な原因となって、吐き気を生じているのかは定かではありません。
吐き気は「胃」の病証と考えます。通常ならば、吐き気が生じていれば、食欲は低下し体重が落ちていても不思議ではありません。
しかし、この方は体重に大きな変動は生じていませんでした。
ということは、もともともっていた精神不安による影響が胃に作用して、吐き気となっているのではないかと考えます。
そこで、胃の緊張を緩めて、機能を改善する処方をご提案しました。

処方:半夏厚朴湯

これを3週間服用したところ、吐き気がほとんど消失し、睡眠の質も向上しました。

まとめ

気になる症状がある場合、その症状と関連する内臓だけを見れば良い場合もありますが、今回の場合のように、他の原因で症状が出ている場合もあります。
病院で診てもらっても異常がなく、症状が改善されない場合は、漢方専門の医療機関で診てもらうことで、症状が緩和される場合もございます。
ぜひ、一度専門の医療機関で診てもらってください。

今井 啓太

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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