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症例紹介

症例37 更年期障害のホットフラッシュと動悸の漢方薬治療

更年期障害には多数の症状が現れます。その中でも当薬局で多い相談が、上半身ののぼせや多汗をともなうホットフラッシュです。ホットフラッシュが強い方の場合、冬場でも暖房のきいた室内や電車内でも、大量の汗が出てきてしまい、人前に出ることをためらってしまうこともあります。

現在の主要な治療法はホルモン補充療法です。ホルモン補充療法では、減少した女性ホルモンを補うことで、ホットフラッシュを緩和させます。

ですが、ホルモン補充療法を行っても効果が出ない方や副作用により治療を継続することができない方もいらっしゃいます。そのような場合、漢方薬が効果を発揮することがあります。

今回は、ホルモン療法でうまくいかなかった方が、漢方薬の服用により症状が緩和した症例をご紹介します。

相談内容

40代半ば 女性
相談内容:動悸にともなうホットフラッシュ

〜経緯〜
2年ほど前から、動悸とホットフラッシュが出るようになった。
産婦人科でホルモン補充療法を行うも効果がなく断念。
調べると、漢方薬も効果があると知って、某漢方薬局にて漢方薬を購入し、服用を始める。
多少効果があったものの、月に5万円ほどかかるため、継続が困難となり数ヶ月で断念。
しかし、漢方薬の服用を止めると症状がつらくなるため、別の漢方薬局を探していたら、当薬局に行き着いたとのこと。

〜ホットフラッシュと動悸の特徴〜
・症状は時間を問わず、突発的に生じる。
・特につらいのは、毎晩就寝中に動悸とのぼせ、寝汗が生じること。
・症状は「動悸→ホットフラッシュ」の順番に生じる
・のどが渇きやすく、手元に水分がないと不安になる

〜その他特徴〜
・月経は4ヶ月前以来、生じていない
・体格は痩せ型
・来局時もタオルを持参しており、話しながら汗を拭いている

処方選択

ホットフラッシュに用いる漢方薬は複数あるので、患者様の症状の現れ方や体質に合わせて処方の選定をします。
この方の症状は、
・のぼせ
・多汗+寝汗
・動悸
です。

ホットフラッシュは身体に熱がこもった状態なので、この熱を冷ましてあげることが必要になります。

同時に、月経が終わりに近づくにつれて、身体の血が不足していきます。血は水分なので、身体中の水分が失われていくことでもあります。漢方では、身体の水分が不足した状態を陰虚(インキョ)と呼びます。この患者さんは身体の熱感だけでなく、陰虚の影響のよる口の渇きが生じています。

漢方では、身体の水分は単に身体を潤すだけでなく、身体の熱を冷却する(水で冷やす)働きがあると考えます。そのため、陰虚になれば熱を抑えることができず、身体に熱が発生しやすくなります。

このような状況に加えて、動悸が生じています。これも陰虚により、心に栄養を与えることができなくなってしまった結果、生じているものと考えます。これらを考慮して処方を組み立てます。

処方:柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)

初回に2週間分をお渡ししました。2週間後には日中、夜間の動悸の回数が減少しました。
夜中の動悸の頻度が3〜4回→1〜2回に減少しました。
動悸の減少とともに、動悸に付随して生じていたホットフラッシュも減少しました。

4ヶ月ほど服用した現在でも、症状は完全になくなることはないものの、前より快適な日々をおくれています。値段も、以前の漢方薬局と比べて半分以下になっていることにも患者さんに喜ばれています。

まとめ

今回の症例では、初回から漢方薬が適応したので、早く効果を実感してもらえました。
しかし、漢方薬をお出ししてから4ヶ月たった今でも完全な改善にはいたっていません。
もしかすると、もっとよい処方があるのかもしれませんし、ひょっとしたらここまでしか改善ができないのかもしれまん。
今後も状態を確認しつつ、処方の調節をしていく次第です。

今井 啓太

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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