11/15(金)より、web予約のシステムが変更になりました。

治療について

複数病理ある漢方治療 その1

患者さんの病態が複数ある時には

同時に治療するか、別々に分けて治療するかを考えます。

その際に同一方向性の病態であれば、一気に治療をしますが、

同一方向性にない病態である場合は、

別々に分けて治療します。

例えば、カレーライスとケーキを食べたいとします。

その時はだいたいの方は

カレーライスを最初に食してから、

ケーキをデザートに食べると思います。

カレーライスとケーキを一緒に食べる人はあまりいないですよね。

しかし、漢方治療となると

これがしょっちゅうのように行われているのを

目撃します。

体に冷えがあるから冷え性の漢方薬

ストレスがあるからストレスに有効な漢方薬

胃腸が弱いから胃腸を強くする漢方薬

というように、複数の病態がある時に

それぞれに合わせた漢方薬を一気に使って

治療しがちになります。

しかし、

沢山の漢方薬を服用したからといって、

一気に全部が解消されるわけではありません。

先ほど説明したように「カレーとケーキ理論」

のようにカレーとケーキを一緒に食べたら、

気持ち悪くなるように(案外美味しいのかもしれませんが・・・)、

複数の漢方薬を使ったからといって、

回復が早まるとは限りません。

人間の消化力にも限界がありますので、

全体の効力がマイルドになり、

どれも中途半端になってしまう可能性があります。

治療する際には1つずつじっくり改善した方が

治療スピードは上がる事が多いです。

先ほどの「冷え性・ストレス・胃腸虚弱」

がある場合、

例えばまず胃腸虚弱を重点的に治療し、

改善を目指します。

胃腸が丈夫になると、

消化吸収力が向上し、

エネルギー効率も上がり

冷え性にも効果が現れますし、

体力も向上し、

ストレスに負けない気力も出てきます。

このように、

複数の病態がある時は、

どこから治療していくのかを見極めるのも

専門家としては大切な事です。

ケースバイケースですが、

もちろん同時に治療できる場合もあります。

仕事も複数同時にこなすより、

1つずつ終わらせた方が、

結果的には早く終わるのと同じですね。

何事もシンプルに。

今井 啓太

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

関連記事一覧

コメント

この記事へのコメントはありません。