治療について

日中に眠くてだるくなるのは「胃腸のせい」

12月に入り、

忘年会や飲み会が増えてくる季節です。

かくいう私も昨日は今年唯一の忘年会に参加して、

美味しい食事や普段飲まないお酒をたらふく頂きました。

そうすると案の定、

今日は朝から下痢と睡眠不足による倦怠感、

二日酔いの吐き気に苦しめられました。。。

お酒が強い人や飲み会が好きな方は

この時期は楽しめるのですが、

私のように、お酒が強くなく、

胃腸も強くない人だと、

本来楽しいはずの飲み会も、

体調悪化の原因になりかねません。

今回は忘年会など一時的な要因だけでなく

普段から日中の眠気やだるさが起こりやすいのは

なぜなのか、そしてその対策方法について、

漢方の観点からご説明します。

なぜ日中に眠たくなるのか

日本人の実に70%程は昼間に眠くなりやすいと言われています。

その原因として

①日本人は胃腸が弱い

②昼食の選択を誤る

の二つが挙げられます。

原因①胃腸が弱い人

ここでは、睡眠不足によって生じる日中の眠気は除きます。

その場合は睡眠時間を増やすことが先決だからです。

そうではなく、夜もしっかり眠っているはずなのに

日中に眠くなってしまう原因を説明します。

その原因は「胃腸の弱り」です。

ヒトは食べたものをエネルギーにして、

日々活動しています。

ですので、胃腸が弱い人が多い日本人は

エネルギーを効率的に生み出すことができず

眠気や疲労感が生じてしまいます。

なぜ日本人は胃腸が弱いのか漢方的にいうと、

日本人は「胃腸に水を溜めやすい」からです。

日本は全方位を海に囲まれた島国です。

空気中に含まれる湿気が高く、

呼吸を通して胃腸に入ってきてしまいます。

胃腸に水が溜まってしまうと、

胃腸の働きが低下します。

水分をたくさん摂ると、

体がおもだるくなって動きたくなくなるように、

胃腸にも水がたまると、

胃腸の動きが悪くなり、消化が悪くなります。

そのため、消化に時間が掛かってしまい、

頭や全身にエネルギーを回すことができず

眠気やだるさが出てきてしまいます。

原因②昼食に食べる物に注意

ただ、現代の飽食の日本では普通の生活をしていて

食事量が少なすぎて、エネルギー不足になるケースは

少ないです。

食べる量が増えれば増える程、

消化に時間がかかればかかるほど、

胃腸に負担が掛かります。

そこで次に注意して欲しいのが、

日中に食べる物です。

この食べ物の選択を誤ってしまうと、

日中に眠気が生じやすくなります。

それは、

脂肪の多い食事」です。

脂肪はベッタリとしており、

胃腸に重くのしかかります。

油が手につくとべたっとしてなかなか落とせないように、

胃腸にたまっても、

胃腸は消化するのにエネルギーを要してしまいます。

ですので、

日中はタンパク質や炭水化物(野菜や果物中心)を

摂るようにして、脂肪の多く含むものは避けるように

すると良いです。

漢方治療方法

日中に眠くなるのは、

「胃腸の弱り+食べ物の種類」

に影響しています。

そのため、

漢方薬治療では胃腸の消化力を向上させる処方を

用います。

具体的には2種類の方法が有ります。

1)胃腸の弱い人が消化力をあげる

もともと胃腸が弱かったり、

年齢が上がって胃腸が弱くなってしまった場合に有効です。

この時に用いる漢方薬は「人参(にんじん)」

という生薬を含んだ処方を用います。

ex)六君子湯(りっくんしとう)、人参湯(にんじんとう)など

2)暴飲暴食や食べ過ぎて眠くなってしまった場合

先ほども説明しましたが、

脂肪の多い食べ物には注意する必要があります。

しかし、そうは言っても、

付き合いでご飯に行ったり、

どうしても時間がなくて外食になってしまう場合も

あるかと思います。

そこで、

食べ過ぎて胃腸の機能を落としてしまった場合は、

胃腸に溜まった余分なものを胃腸から脱してあげる

必要があります。

この時に用いる生薬が「黄連(おうれん)」や「黄芩(おうごん)」

大黄(だいおう)」などです。

これらの生薬はやや強めですので、

もともと胃腸が弱い人に用いると、

反って胃腸をこわしてしまう場合もあるので、

注意が必要です。

ex)半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)

  黄連解毒湯(おうれんげどくとう)+平胃散(へいいさん)

まとめ

以上のように、

日本人は胃腸が弱い人が多く、

なおかつ昼食には手軽にできる外食には

脂肪を多く含んだ食事が多いので、

日中の眠気やだるさが生じて、

パフォーマンスを低下させているのだと

考えられます。

普段から胃腸を労る食事を意識して頂き、

それでも対処できない場合は、

ぜひ専門の漢方薬局にご相談ください。

今井 啓太

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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