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処方解説

シソの心地よい香りの香蘇散の煎じ方

ここのところ、漢方薬の味と香りについての記事を書いてきました。

漢方薬の香りや味について

漢方薬の味は変わる

漢方薬は主に植物を多く使います。

その中には独特の香りの物もあれば、

芳香がないもの、

普段から嗅ぎなれているミントやシナモン、シソなども

用います。

今日の私は少し頭がシャキッとせず、モヤモヤしていたので、

香蘇散(こうそさん)という漢方薬を煎じて、飲んでみたので、

効能効果や煎じ薬で服用する際の注意点について、

ご案内します。

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香蘇散

漢方薬の名前にあるように、香附子(コウブシ)と紫蘇の葉を

メインとした漢方薬で、他にも香り豊かな陳皮(チンピ;ミカンの皮)

を含んでいます。

そのため、煎じるとシソと柑橘の香りが漂い、

それだけで気持ちが穏やかになります。

効能効果ですが、

香りが豊かなため、軽く停滞しているものを

動かしてくれる働きがあります。

とりわけ、胃腸の動きがスッキリとしない時や

なんだか頭がモヤモヤしてスッキリしない時、

こんな時はよどんで、巡りが悪くなってしまっている状態です。

香蘇散の香りとスッキリとした味わいで

軽く体のよどみを動かしてくれます。

このような香りが身体にあっていれば、

とても心地よく感じられます。

胃の調子がよくない時は

あまりこってり、どっしりしたものは

食べたくないですよね。

あっさりとスッキリとしたものの方が

身体に馴染みやすいように、

香蘇散もスッキリとして、飲みやすい味です。

ただ、香蘇散のような香りが高い漢方薬を服用する際に

注意して欲し点が2つあります。

①エキス剤より煎じ薬の方が良い

②煎じる時は時間に注意

一つずつ説明します。

①エキス剤より煎じ薬の方が良い

漢方薬はエキス剤で服用する方が多いかと思いますが、

エキス剤の欠点の一つに「香りがとんでしまう」ことが

挙げられます。

煎じ薬は直接生薬をグツグツと煮出すので、

煎じる過程で香りが出ます。

一方のエキス剤は、煎じた液体を乾燥させて粉末にする過程で、

香りがとんでいってしまいます。

そのため、エキス剤はグツグツと煎じた漢方薬と比べて、

圧倒的に香りが落ちてしまいます。

香りが違うと言うことは、

それだけ香り成分の量が違ってきていると言うことです。

そうなると当然、薬の効果も違ってくるように思います。

と言うことは香りがある漢方薬は出来るだけ

煎じ薬で服用いただき、香りそのものからも

効果を頂いてしまった方が、効き目が出ます。

②煎じる時は時間に注意

もう一つ大事な点が煎じる時間です。

煎じ薬は通常40-50分くらいとろ火でコトコトと煮ますが、

香蘇散のような香りのある漢方薬の場合は

煎じる時間を短くします。

具体的には煎じポットを使う場合は15-20分

土瓶ややかんで煎じる場合は沸騰してから5−10分程です。

なぜ短くするかというと、

煎じる過程でどんどん香り成分が揮発していってしまうからです。

たくさん煮立たせた方が成分が出るような気がしますが、

この場合は欲張らずにサッと煎じて、

アッサリとした味で服用するのがベストです。

もし、煎じ薬で漢方薬を服用したいと考えている方は

漢方薬の種類によって煎じ方も変わってきますので、

漢方専門の医療機関で、作り方も含めて、

ご相談いただければと思います。

今井 啓太

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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