相談内容
相談者:40代半ば 男性
相談内容:頭皮、顔、耳後の赤みと痒みを改善して欲しい
3年ほど前から月に1〜2回、頭皮から顔にかけて痒みが出るようになりました。
数ヶ月前から痒みの頻度と範囲が広がってきたので、皮膚科で薬(薬名は不明)をもらうも、改善が見られないため、漢方薬を試してみようと思い来ました。
水疱や化膿などはありませんが、乾燥すると痒くなる傾向があります。
とにかく頭皮、頬部、耳の後ろが痒くて、赤みがあり皮膚がゴワゴワしています。
昨年、北海道から東京に単身赴任してきて、まだまだ生活には慣れていません。
皮膚がひどくなるのと同じ頃、逆流性食道炎も同時にひどくなってきたので、市販の六君子湯を服用していますが、あまり効果は実感できていません。
皮膚が悪化する要因(入浴、飲食、アルコール、ハウスダスト、季節の変化、昼夜の変化など)は特に思い当たることはありません。
処方選択
皮膚症状に用いる漢方薬はいくつかありますが、皮膚症状の場合は体表面の出方(赤み具合・乾燥具合・湿潤具合・皮膚の色味など)を望診によって観察することが一番大事になってきます。
今回のケースでは、赤みはかなり強め、乾燥もややあり、浸出液はない状態です。
痒みは皮膚の炎症や乾燥などの結果として現れているものですので、痒みだけをターゲットに処方を組み立ててもあまり意味がありません。
さて、皮膚の所見としましては、赤みと乾燥を伴っていることから、熱証と燥証ということになります。
ここで二択の選択が問われます。
純粋に熱証と燥証を改善するのであれば、清熱(熱を冷ます)と滋潤(肌を潤す)の組み合わせとなります。
シンプルに考えれば、清熱しつつ滋潤する漢方薬を用いることになります。
しかし、清熱しながら滋潤するということは清熱の勢いを削ぐ可能性があります。
もう一つは、肌の乾燥を熱証による二次災害として捉えることです。
つまり、身体の内熱によって肌の水分が飛ばされてしまい、結果的に皮膚が乾燥してしまう状態のことです。
この場合は、体内の炎症を抑えることができれば、肌への炎症も抑えられるので滋潤する必要がありません。
ただし、清熱をし過ぎてしまうと一部の清熱剤は肌を乾燥させる燥湿作用があるので注意が必要です。
どちらの方針でいこうかと迷ったので、もう一度問診を振り返ってみることにしました。
すると、皮膚症状がひどくなると同時に逆流性食道炎を発症していることに気付きます。
おそらく、単身赴任を初めてから食生活が乱れてしまい、それが原因となって逆流性食道炎になったと推定できます。
ですので、皮膚の悪化も胃の不調も、「食生活の乱れ」が根本の原因と考えられます。
その上で、今回の患者さんの要望は皮膚の改善を優先したいとのことでしたので、食の乱れによって生じた胃熱を改善しつつ肌の炎症を抑える、つまり滋潤はせずに徹底的に清熱を試みる治療に振り切ることができました。
処方)黄連解毒湯+石膏
この処方を服用し始めて1ヶ月ほどたった頃から少しずつ炎症が治ってきました。
その後も服用を続け、皮膚が乾燥しないかを気をつけながら服用を続けた結果、半年ほどで症状が落ち着いてきました。
まとめ
治療方針が複数ある場合は、皮膚所見だけでなく随伴症状をヒントにして決められる場合があります。
また、今回のケースは食生活の乱れが根本となっていましたが、患者様がなかなか食生活の改善に踏み切ってくれなかったこともあり、効果の発現に時間を要しました。
漢方薬と同時に生活習慣の改善を行うことで、相乗効果で体調も速やかに整ってくることを実感した症例でした。








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