先日、いつもいらっしゃる患者様から「歯髄炎」のご相談を頂きました。
歯髄とは、歯の最も内側に位置する神経や血管が集まった組織のことで、歯髄炎はこの部位に細菌感染したり、歯ぎしりや噛み合わせによる負荷で炎症が生じたものです。
歯髄炎は内部で生じているので、発赤や充血、腫脹、熱感などを認めるのは困難です。
その代わりに疼痛が強く、急性の歯髄炎では物を噛む時など、何かが触れるだけで飛び上がるほど痛むのが特徴です。
実際に、この患者様も咀嚼時に強い痛みを自覚しているようです。
歯医者さんに通っているようですが、なかなか改善していないようです。
歯髄炎の主な原因は虫歯であるので、根本治療は歯科にて虫歯治療を行ってもらうことです。
ですので、東洋医学がメインとして機能することはなく、あくまでも「炎症を鎮めて疼痛を緩和させる」ことと化膿している場合は「化膿に対応する」ことを目標として使用していきます。
炎症を抑えるものとしては、「黄連(オウレン)・黄芩(オウゴン)・石膏(セッコウ)・竜胆(リュウタン)」などの清熱解毒薬をメインとして用います。
化膿している場合には、「桔梗(キキョウ)・連翹(レンギョウ)・金銀花(キンギンカ)」などを用います。
痛みが強い場合は止痛作用のある生薬を配合させていきます。
代表的な漢方薬としては「立効散」「桂枝五物湯」「排膿散及湯」「葛根湯加減」などが該当します。
この患者様にも歯髄炎の痛みに対応すべく、漢方薬をお渡ししましたが、次回のご来局までに痛みがどれほど軽減できているかです。 (歯医者さんの治療も同時進行なので、漢方薬の効果を判定するのは難しいですが)
もし、歯医者さんでの治療を終えても痛みが取れない場合は、漢方薬で可能な限り対応しようと思います。








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