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漢方について

漢方薬の副作用?頭の覚醒

副作用とは?

副作用という言葉には2種類の意味があります。

①好ましくない薬の作用(有害作用)

②主作用ではない作用(必ずしも悪い作用とは限らない)

例えば、ドラッグストアで販売されている睡眠改善薬は

まさに副作用を利用した商品と言えます。

ある睡眠改善薬は「ジフェンヒドラミン」という成分を含有しており、

この成分が睡眠を促すために用いられています。

ですが、この成分は本来は抗ヒスタミン薬として用いられ、

花粉症などのアレルギー疾患に用いる成分です。

花粉症の薬を服用すると眠くなってしまう、

こんな経験をした方もいるかもしれません。

アレルギー薬としては眠くなってしまうのは困る

という方も、睡眠改善薬として用いる場合には、

反ってありがたい作用を示してくれます。

このように薬の成分には主作用の他に副作用があり、

時には人体に有害であったり、迷惑となってしまう作用を

及ぼしてしまうこともありますが、

反ってありがたい働きをもたらす場合もあります。

麻黄の副作用で覚醒?

さて本題に入りますが、

先日、数年間、痰がゼロゼロとからみ声が出しにくいという

50代女性の方ががいらっしゃいました。

お話を伺い、病態を検討したところ、

麻杏甘石湯が良いと判断して

1週間分お渡ししました。

1週間後、症状の確認をしたところ、

痰は減ってきており助かっている。

ただ、夜に覚醒して眠れなくて困るとのこと。

今まであまり経験がなかったのですが、

なるほどなと思いました。

麻杏甘石湯には

麻黄・杏仁・石膏・甘草の4種類の生薬から

構成されています。

この中で、麻黄に入っている

エフェドリンという成分に

交感神経刺激作用と中枢興奮作用があります。

これによって、覚醒されてしまい

夜に眠れなくなってしまったのだと思われます。

*服用した人全員に生じるとは限りません。

そこで、夜間は服用しないで、

朝・昼に服用してもらいました。

そうすると、日中に覚醒して仕事がはかどり、

夜はきちんと眠れるようになりました。

もともと治したかった痰も改善され、

日中のパフォーマンスも上がり、

大変喜ばれました。

予想だにしてなかった反応ですが、

悪い意味での副作用になってしまう場合もあるので、

注意が必要です。

今井 啓太

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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