web予約
LINE予約
電話

症例紹介

症例5 痰が溢れて気持ち悪い

相談内容

相談者:40代 女性
相談内容:痰が溢れてきて気持ち悪い

日常忙しくしていると痰は気になりません。

しかし、昼食後やお風呂に入っている時など気持ちが落ち着いている時になると、鼻の後ろ〜口の後ろあたりに多量の痰が溢れてきます。

痰の色は白色で少し粘っこいです。

口から痰を吐き出すといくらか気分は楽になりますが、痰が出せる環境にないと、気持ち悪くなってきてしまいます。

処方選択

慢性的な痰の症状であり、後鼻漏も生じています。

このような病態では、六病位では少陽病に該当します。

痰の性状も寒熱でいうと、粘り気があるのでやや熱証よりといえます。

少陽病の熱証ということで、まずは以下の漢方薬をお出ししました。

処方1)小柴胡湯加桔梗石膏(ショウサイコトウカキキョウセッコウ)

正直なところ、この漢方薬で後鼻漏が治った経験はあまりなかったのですが、東洋医学的な病態把握では小柴胡湯証と判断できるため、自信はなかったのですが、小柴胡湯ベースで漢方薬をお出ししました。

ですが、2週間服用しても何も変化がありませんでした。

そこで、鼻の炎症ということで小柴胡湯ではあまりにも範囲が広いため、もっと鼻に寄せた漢方薬として葛根湯加川芎辛夷を次にお出ししました。

処方2)葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)

こちらの漢方薬に切り替えたところ著効を示し、徐々に痰は減少していきました。

まだ完治には至っていないものの、状態は安定しており、現在も継続中です(葛根湯加辛夷川芎:1ヶ月半服用中)。

考察

初めは食後に痰が溢れてくることから、胃の痰飲・胃の弱り(消化不良)が痰を生み出す原因となっていると判断し、なおかつ慢性化した状態であったことらか「小柴胡湯」の加減法を選択しました。

しかし、効果はなく葛根湯加減が功を奏しました。

一般的に葛根湯加川芎辛夷は「鼻づまり」の特効薬として有名な漢方薬ですが、それだけしか活用できないのはもったいないです。

生薬ベースで考えると、もっと応用のある使い方ができると考えられます。

【葛根湯加川芎辛夷の組成】
麻黄-甘草:甘草麻黄湯として「気道」や「鼻腔」の炎症を解除する
葛根:涼性であり、鼻や気道の炎症を鎮める働きがある
甘草・大棗・生姜:胃腸を保護する、消化を助け痰の産生を抑制する
辛夷:鼻腔の炎症を解除し、鼻づまりや炎症により生じた痰を除く
川芎:とりわけ頭部の血流を改善し、頭痛や副鼻腔炎の痛みを抑えるとともに、排膿作用により膿を押し出す。

また、葛根湯は発病初期の表証に用いられる処方であり、病位としては浅く上咽頭や鼻腔などの体表面に近い部位にも対応できます。

以上のことから、葛根湯加川芎辛夷は上咽頭や咽喉などの部位の炎症にも応用可能な漢方薬として使うことができると考えられます。

実際、今回の症例においても上咽頭の炎症を緩和し、痰や後鼻漏の減少につながりました。

葛根湯、小柴胡湯、さらには十味敗毒湯(荊防敗毒散)などの見極めについては難しいところがありますが、今後も検討して明確な使い分けができるようにしたいところです。

関連記事

コラム「症例96 痰の絡み(喀痰)と痰のへばりつきによる息苦しさに漢方薬が奏功した症例」

コラム「長引く痰が絡む咳に竹筎温胆湯」

コラム「症例42 長引く咳と痰に蘇子降気湯」

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

関連記事一覧

コメント

この記事へのコメントはありません。

最近の記事
  1. 症例96 痰の絡み(喀痰)と痰のへばりつきによる息苦しさに漢方薬が奏功した症例

  2. 症例95 慢性蕁麻疹に漢方薬が奏功した症例

  3. 症例94 25年続いた過敏性腸症候群に漢方薬が奏功した症例

おすすめ記事
目次