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症例108 「ゲップ・のどを鳴らすことが止まらない(音声チック)」に漢方薬が奏功した症例

相談内容

相談者:高校生 女性
相談内容:ゲップのようなのどを鳴らすのをやめたい

1年ほど前から、ゲップの様な大きな音が出るようになりました。

病院に行ったところ、胃腸の薬を出されましたが、効果はありませんでした。

漢方薬も「六君子湯(リックンシトウ)、半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)、小建中湯(ショウケンチュウトウ)、大建中湯(ダイケンチュウトウ)」などが出されましたが、まったく変化はありませんでした。

半年前には症状がひどくなり、腹痛も出て、食事もろくにとれなくなってしまい、体重も10kg痩せてしまったので、2ヶ月間入院したところ、体重は少しずつ戻ってきました。

しかし、問題のゲップの様なのどを鳴らすことはまったく変化がありません。

ですので、なんとか改善を望んで、漢方薬を希望して参りました。

母親いわく、性格は真面目で、学校では一番の成績をとらないといけない、と自己暗示をかけてしまっているとのことです。

処方選択

今回は、初回から電話のみでのご相談でしたので、望診(視覚的な情報)が乏しい中でのスタートでした。

身長と体重をお伺いし、体重が戻りつつあるとはいえ、かなり華奢な体型のようです。

すでに病院からは、胃腸や自律神経を整える漢方薬が処方されていましたが、どれも効果は得られていません。

現在は、胃腸は回復傾向にあるようで、食事も割ととれているようですが、それでも体型から、胃腸に負荷をかけないように注意しながら漢方薬を選択する必要があるかと思われます。

これがゲップなのかどうかは定かではありませんが、「音声チック」に該当するのではないかと思います。

音声チックは、本人の意思に関係なく、突発的で反復的な声や音が出てしまう病気のことです。

そこで、まずは本人の特性から「こうでなければならない」という強い気持ちの現れがあり、それが達成されなかった時のストレスが気の流れを乱していること、そして成長過程にある身体の未成熟な部分があいまって、チックという形で現れたのだと考察しました。

最初は、ストレスによる気の乱れと身体の虚弱性という両方面からアプローチする処方を用いました。

処方1)柴胡桂枝湯

しかし、この処方を2週間服用しても、お腹の張りは少し良くなるくらいで、チック症状はまったく変わりませんでした。

そこで、もう少し気持ちを落ち着かせる作用を増やした処方に変更しました。

処方2)抑肝散加陳皮半夏+甘麦大棗湯

しかし、この漢方薬も同様に、1ヶ月服用を続けてもチック症状はまったく変化ありませんでした。

そこで、もう一度処方を組み立て直すことにしました。

再度、カウンセリングで現状を確認すると、ここのところは食欲は出てきて、お腹が痛くなることはなくなったとのことでした。

音声チックの状態は変わらなかったのですが、胃腸は力をつけてきて、状態も改善しているようでした。

対面ではないので分かりにくかったのですが、思ったよりもお腹の力はあるのかもしれないということです。

一方で、学校の課題がうまく進まずにパニックのようなヒステリーを起こすこともあるとのことでした。

そこで、食道の緊張を緩めて、緊張を緩和する作用に特化した漢方薬に変更しました。

処方3)α+甘麦大棗湯

そうすると、1ヶ月経った頃には少しずつのどを鳴らす頻度が減ってきました。

それから、さらに1ヶ月たつと学校や外ではのどを鳴らさなくても我慢できるようになりました。

そのまま半年ほど服用を続けると、家でもほぼ音を鳴らすことがなくなりました。

また、学校の宿題やテストでも以前は追い詰められるとパニックやヒステリーのような状態に陥っていましたが、それもなくなり、穏やかに過ごせるようになりました。

ちょうど、夏休みに入る頃合いだったので、服用を中止しましたが、その後も状態は安定しているとのことでした。

まとめ

思春期は多感な時期であり、ちょっとしたことが精神的な重荷となって体に不調を及ぼすことがあります。

また、成長の過程であり心身のバランスも不安定になるため、心の面と身体の面の両方目を配る必要があります。

今回のように、元々は身体が虚弱であったものが少しずつ力をつけたことで、処方も精神面のアプローチを強めていくことができるようになりました

年齢が若いと漢方薬の反応が良いことが多く、比較的早くに効果を実感していただけました。

今後も一つだけの視点に捉われず、柔軟なアプローチができるように気をつけたいです。

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コラム「症例53 ゲップ?が止まらない」

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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