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症例紹介

症例33 慢性副鼻腔炎の漢方薬治療

副鼻腔炎とは

副鼻腔炎とは、風邪やアレルギーなどにより、副鼻腔という部位に炎症が起こることで発症する病気です。特徴的な症状として、鼻周囲や眉間に痛みが生じたり、黄色や緑色のドロドロとした鼻水が出たりすることが挙げられます。

副鼻腔炎の初期症状(急性副鼻腔炎)の場合は、抗生物質を使うことで、比較的すぐに改善することができます。しかし、急性期をすぎて慢性になると、一筋縄では改善できません。

今回は、慢性の副鼻腔炎の漢方薬が奏功した症例についてご紹介します。

相談内容

50代 男性
改善したい症状:慢性副鼻腔炎
過去に何度も副鼻腔炎にかかっている。

直近では昨年の8月にかかり、現在(翌年1月末)まで続いている。
病院で抗生剤やアレルギー薬を処方されていたが、改善は見られない。

症状としては、
・飲食時に鼻〜のどにかけて痛みが生じる。
・後鼻漏(鼻水が喉に降りてくる感覚が強い)
・痰が気味粘り、黄色
・鼻づまり

他には持病で高血圧の薬を服用している。

舌:紅色

処方考察

慢性副鼻腔炎の場合は、初期の副鼻腔炎の炎症が取りきれなかったことで、一度治ったように見えても、再発してしまいます。そのため、抗生剤で細菌をたたいても、鼻の奥に残った炎症が取れきれない場合があります。
漢方薬は、病歴(炎症が起きてからの時期)や病気の部位によって、炎症を抑える処方も使い分けることができます。

今回のケースでは、鼻の奥からのどにかけての炎症が強く残ってしまったことで、症状が出ています。漢方では、この部位は体表面でもなく、内臓(肺)にまで及んでいない部位、少陽病という場所の炎症になります。

この方は、少陽病の炎症を抑える漢方薬と化膿を抑制(排膿)する漢方薬を用いました。

・2週間の服用で後鼻漏が軽減
・4週間後にはほとんど症状がなくなる
合計5週間の服用で治療を終えることができました。

まとめ

抗生剤は副鼻腔炎の初期の段階では、効果を発揮してくれます。ですが、慢性の副鼻腔炎で抗生剤が効かなかった場合は、漢方薬を用いることで症状が軽減される場合もあります。副鼻腔炎でお悩みの方は、ぜひ専門の漢方薬局にご相談ください。

今井 啓太

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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