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症例紹介

症例47 花粉症に葛根湯加辛夷川芎

30代後半 女性
相談内容:花粉症状を改善してほしい

昔から花粉症もちであったが、今年は例年になく症状が強く、アレグラを服用しても改善しない。
そこで、3月下旬に漢方薬を求めて来局されました。

症状は鼻づまり、後鼻漏(のどに鼻水が落ちてくる)、鼻水(サラサラ→ドロドロに変わる)、目の痒みなど、症状は多岐にわたる。
とりわけ鼻づまりがひどく、夜も十分に眠れない。

処方選択

花粉症に対しては、漢方薬も即効性がありすぐに効果が判定できるのがいいところです。
今回のケースでは、3月下旬に来局されたこともあり、花粉症が長引き初期のサラサラ鼻水の状態からやや炎症が強くなることで、ドロドロ状の鼻水に移行している。

寒熱でいえば、やや熱化した状態である。
初期のサラサラ鼻水であれば、小青竜湯(ショウセイリュウトウ)のような温める処方でいけたのですが、時間が経過して炎症が強くなったので、熱を冷ます作用の処方にしないと対処は難しいと思われます。
加えて、鼻づまりがメインとなると、自ずと処方が決まってきます。

処方:葛根湯加辛夷川芎(カッコントウカシンイセンキュウ)

この処方は葛根湯に辛夷(シンイ)と川芎(センキュウ)を加えた処方です。
1週間分をお渡しすると、鼻づまり・鼻水が激減し、後鼻漏も減少しました。
例年、花粉症は4月末くらいまで続くとのことでしたので、3週間ほどお渡しして今年の花粉症を乗り切ることができました。

考察

花粉症の治療は、外邪(外からやってくるウイルス・細菌・花粉など)に対して、どのように対処するかが大切です。
葛根湯加辛夷川芎の葛根湯が外邪と戦うことで、症状を緩和します。
そこに辛夷と川芎が加わることで、鼻の血流を促し、炎症を抑えることで、鼻づまりを解消します。

後鼻漏は鼻周囲の炎症があるために生じていたものと考えられ、鼻づまりの解消とともに緩和していったものと思われます。

今井 啓太

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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