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症例紹介

症例50 慢性頭痛に清上蠲痛湯

50代前半 女性
相談内容:慢性頭痛の改善

昔から頭痛持ちで、ひどいと2〜3日寝込んでしまうほどです。
病院で偏頭痛薬のマクサルトとロキソニンを処方してもらい、なんとかやり過ごしていました。
マクサルトは月に3〜4回服用しています。

漢方薬の呉茱萸湯(ゴシュユトウ)や五苓散(ゴレイサン)を使ったことがありますが、効果はありませんでした。

頭痛はズキンズキンと痛み、マクサルトを飲み損ねると2〜3日はあとを引きます。
生理前や天候不良、睡眠不足の時になりやすいです。
生理前は頭が熱く、熱がこもったような感じがします。

<全身症状>
胃腸は丈夫
めまいを起こしやすい(良性発作性頭位めまい症)
更年期のホットフラッシュ

<月経状態>
経血量が減少(2〜3日程でほぼなくなる)

処方選択

頭痛の処方といえば、呉茱萸湯と五苓散は真っ先に名前の上がる処方です。
実際、適切に用いることができれば、てきめんに効果を現してくれます。

しかし、今回の場合はこれらの処方で効果を得られなかったので、別の病態を考えなければなりません。
そこで、注目すべきは生理前の頭痛時に頭に熱がこもっていることです。
これは熱証と呼ばれるものです。
加えて、月経前に生じていること、経血量も減少してきていることから、陰虚→虚熱も考えられます。
そこで、血への配慮をしつつ頭部の熱を鬱散する処方を用いることにしました。

処方:清上蠲痛湯(セイジョウケンツウトウ)

3週間分をお出ししたところ、月経前以外の頭痛はピタッとなくなりました。
しかし、月経前の頭痛は弱くはなったものの、まだ頭がボワっと熱く、頭痛が起きてしまいました。
季節が夏ということもあり、加えて外に出る機会も多かったとのことでした。
そこで、頓服として熱を冷ます処方をお渡ししたところ、次の月経前では頭痛を抑えることができました。

まとめ

頭痛は緊張型頭痛や偏頭痛の違い、どのような状況で発症するか、その方の現在の状況(生活環境・体質)など、さまざまな要因から、病態を導き出さないといけません。
ただ、最近は熱証による頭痛が多いように感じます。
スマホやパソコンの長時間使用や睡眠不足などで、陰血が不足していることも影響しているのかもしれません。

今井 啓太

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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