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漢方について

葛根湯の使い方・飲み方

「風邪に使う漢方薬といえば葛根湯」というくらい、葛根湯は有名な漢方薬の一つです。

実際、毎年冬のシーズンになるとドラッグストアに大量に葛根湯のドリンクや錠剤、顆粒剤などが販売されています。

これを読まれている方の中にも、風邪を引いた時に葛根湯を飲んだことがある方もいるかと思います。

葛根湯は適切に使うと、たった1回の服用で風邪症状を改善することができる優れものです。

しかし、「葛根湯を使ってもまったく効果がなかった」とおっしゃる方もいらっしゃいます。

同じ風邪症状でも葛根湯が効く人もいれば、効かない人もいるのはどうしてでしょうか。

これはたまたまではなく、「葛根湯の使い方・飲み方」に大きく左右されます。

葛根湯を適切に効かせるためには、大きく3つのポイントがあります。

ポイント
・葛根湯の適応かどうか
・葛根湯の服用するタイミング
・葛根湯の飲み方

この3つのポイントをしっかりと抑えることができなければ、いくら葛根湯を服用しても効果がありません。

今回は葛根湯の使い方について、葛根湯の歴史をもとにご紹介していきます。

葛根湯の歴史

葛根湯は、『傷寒論』という書物に初めて記載されました。

傷寒論は今から1,800年ほど前の、西暦200年頃の中国、漢(後漢)の時代に完成したと推定されています。

日本ではこの『傷寒論』をベースにした考え方が根強く残っているため、現代においても長らく葛根湯が使われています。

では肝心の葛根湯の使い方ですが、『傷寒論』に記載があるので、ご紹介します。

「太陽病にて、項背強張ること几几(しゅしゅ)、汗無く、悪風するは、葛根湯これを主る」

「太陽病」というのは、身体の体表面における病気のことです。

『傷寒論』では体表面から病邪(細菌・ウイルスなど)が侵入して、次第に身体の内部に侵攻していくとしています。

そのため、太陽病というのはまだ体表面に病邪がある状態、つまり「病気の初期段階」にあるということです。

「項背」うなじと背中
「几几」:「しゅしゅ」とか「きき」と言いますが、不快な状態のこと

つまり、葛根湯の条文を現代語訳すると、

病気の初期状態で、うなじや背中が強張って不快であり、汗は出ておらず、寒気がする時、このような時に葛根湯を使いなさい

と言い換えることができます。

葛根湯の使い方について記載がされている条文は他にもありますが、このたった一行の条文が葛根湯の使い方を端的に表しています。

その中でもこの「病気の初期でうなじや背中が強張って寒気がする」というのはまさに風邪の始まりの時とそっくりですよね。

そこで、葛根湯が一番使われているのが風邪の初期の段階になるわけです。

葛根湯は非常に切れ味が良いので、適応する人であればズバッと効かせることができます。

葛根湯に含まれているもの

葛根湯を含め、漢方薬と呼ばれるものは基本的には2種類以上の生薬を組み合わせたもので成り立っています。

生薬とは「植物の葉、根、種子、花、実など、鉱物、動物」の中で薬効を示すもののことです。

この生薬を組み合わせて薬効を高めたり、副作用を軽減したものが漢方薬です。

葛根湯には7種類の生薬が組み合わさってできています。

葛根湯に含まれいる生薬
葛根(カッコン)・麻黄(マオウ)・桂皮(ケイヒ)・芍薬(シャクヤク)・生姜(ショウキョウ)・大棗(タイソウ)・甘草(カンゾウ)

ざっくり、各生薬がどんな働きをしているのかをご紹介します。

葛根+芍薬:筋肉の緊張を緩める作用
麻黄+桂皮:体表面を温めて、体表面の血流を上げて、発汗させる作用
生姜+大棗+甘草:胃腸を保護する作用、胃腸を元気づける作用

このようにお互いの生薬が助け合いながら、効果を発揮してくれるのが漢方薬の特徴です。

葛根湯が適応となる人

葛根湯は体表面の体温を上げて免疫力を向上させる働きがあります。

これにより、細菌やウイルスなどの病邪をやっつけることができます。

同時に胃腸も保護する作用があるので、胃に負担がかかりやすい生薬である「麻黄」のダメージを軽減させることができます。

そのため、身体がやや弱い方から強い方まで幅広く用いることができる処方です。

しかし、そうは言っても胃腸が弱い方や身体が弱い方にはかえって体に負担になってしまうことがあります。

ご年配の方や虚弱体質の方は不適応となることがあるので、そのような方は別の漢方薬を用いる方が良いです。

詳しくは東洋医学専門の医療機関にご相談ください。

ポイント
胃腸が弱い方や高齢者などの虚弱な方は他の漢方薬を選択

葛根湯の服用のタイミング

葛根湯を服用する際にはタイミングがとても大切になってきます。

どのタイミングかというと『傷寒論』の条文が根拠になります。

つまり、「風邪の初期段階で、うなじや背中がゾクゾクと悪寒する時」になります。

風邪の引き始めで、なんとなく寒気がして嫌な感じがする時こそが葛根湯の服用するタイミングです。

なぜこのタイミングが重要かというと、こと風邪やインフルエンザなどの病気は進行が非常に早く、数時間もすると身体の内部まで進行して、寒気から熱感に変わってしまったり、食欲がなくなったりと最初の状態から変化してしまうのです。

そうなってしまうと、葛根湯を使うべき瞬間を逃してしまうのです。

そのため、葛根湯は常備しておいてすぐに服用できるようにしておく必要があります。

ポイント
風邪の初期段階を逃さずに葛根湯を服用する

葛根湯の服用方法

最後に、葛根湯の服用方法についてお伝えします。

葛根湯は身体を温めて、体温上昇をサポートすることで免疫力をあげるのが目的ですので、できれば「熱々のお湯に顆粒剤を溶かして服用」してください。

液体状にすることで吸収を高めて、すぐに効果を発揮してくれるようにするわけです。

葛根湯を水で飲んでも、結局は身体に吸収されて体温上昇をしてくれますが、熱いお湯の方が温まりが違う気がします。

もっと大事なことは、服用した後の行動です。

葛根湯を飲んだからこれで大丈夫だと安心して、そのまま仕事や家事などをする方もいますが、それはNGです。

何度も言いますが、葛根湯は身体の体温を上げることが目的です。

つまり、身体を温めるために全エネルギーを集中させたいのです。

「厚着をして布団をかぶって寝る」

これに尽きます。

それなのに仕事や家事など、他のことにエネルギーを使ってしまっては、身体を温めるために残されたエネルギーがありません。

葛根湯を服用して効果がないという方は、服用後の養生がうまくいっていないケースが多いです。

ぜひ養生をしっかりとして、身体を休ませてあげてください。

ポイント
・葛根湯は熱々のお湯で服用する
・葛根湯の服用後はすぐに布団をかぶって寝る

まとめ

最後に、葛根湯をうまく効かせるポイントをもう一度まとめておきます。

ポイント
・葛根湯の適応かどうか
・葛根湯の服用するタイミング
・葛根湯の飲み方

ぜひ参考にして、風邪やインフルエンザを長引かせないようにしてください。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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