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症例87 ホットフラッシュを伴う更年期障害に漢方薬が奏功した症例

相談者:40代後半 女性
相談内容:首から上の「のぼせ」と「多汗」をなんとかして欲しい

以前から、首から上ののぼせと大量の汗が出てきて困っていました。
寝汗もひどく頭から滝のような汗を流して、目が覚めてしまいます。
病院で、更年期障害に良いと言われる「加味逍遙散(カミショウヨウサン)」という処方が出されました。

ですが、この漢方薬を服用するとお腹を壊してしまい、1日2回に減らしてみても、まだ軟便になってしまうので服用をやめてしまいました。

もともとお腹が弱く、コーヒーや油物、冷たいものをとるとすぐにお腹を壊してしまいます。

持病として非結核性抗酸菌症(ひけっかくせいこうさんきんしょう)をもっていて、乾いた咳が出やすいです。


更年期障害のホットフラッシュといえば、「加味逍遙散」というくらいよく用いられる漢方薬の一つです。
実際、加味逍遙散は更年期に伴い不足した「血」を補いながら身体の熱を鎮静化する働きがあるため、女性の更年期障害では幅広く活用ができる優れた処方です。

しかし、加味逍遙散には「当帰(トウキ)」・「山梔子(サンシシ)」などの胃腸に負担がかかる生薬が含まれているため、胃腸が弱い方には服用が困難なことがあります。

その場合は、「服用回数を減らす」・「胃腸を補う漢方薬を一緒に用いる」・「別の漢方薬で対処する」のいずれかで対応する必要があります。

この方の場合は、加味逍遙散の服用回数を減らしても下痢が改善されなかったことと、効果も感じられなかったようなので、別の漢方薬に切り替えることにしました。

胃腸に配慮しつつ、持病としての非結核性抗酸菌症を持っていることから、肺の弱り(陰虚)が顕著であったので、身体を補いながら、熱を抑える(虚熱)漢方薬をお出ししました。

1週間服用したところホットフラッシュが激減し、同時に咳も減少しました。

調子も良好なため、引き続き漢方薬を継続しています。


一般的に、更年期障害は閉経後5年ほどで終わりになります。
しかし、症状が長引いている場合や日常生活に支障が出るくらいの激しい症状がある場合は、いつ終わるかわからない不安を抱えながら日々を過ごしていらっしゃる方も少なくはないはずです。

この方の場合、閉経したのが43歳頃で更年期はもうそろそろ終わりかと思うので、あと少しの辛抱であることをお伝えしました。

その言葉で患者さんも気が楽になったようで、あまり更年期のことを意識せずに日々を送れているようです。

漢方薬だけでなく、患者さんを安心させてあげられるような声かけができるようにこれからもつとめていきたい所存です。


更年期障害の漢方薬治療について詳しくはこちらをご覧ください。

コラム「症例37 更年期障害のホットフラッシュと動悸の漢方薬治療」

コラム「症例80 アトピー素因をもつ更年期女性の皮膚乾燥」

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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