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症例66 コロナ感染後の不整脈(脈の乱れと胸の痛み)の漢方薬

相談内容:脈の乱れと胸の強い鼓動による痛み

数年前にコロナに罹患して以降、不整脈が現れるようになったようです。
脈のリズムが乱れ、なん度も脈が飛ぶようになりました。
初めはそこまでひどくなかったのですが、次第に頻度が増えて時に強く胸が「ドクン」と激しく鼓動し胸に痛みを覚えることもあります。

体が疲れてくる夕方になると症状が出やすくなります。
また、コロナ以前よりも身体は疲れやすくなり、食事量も減ってきています。


不整脈の発症がコロナウイルスに罹患後に発症したことを考えると、コロナ後遺症と考えても良いのかもしれません。
仮にそうだとしたら、コロナ後遺症をどう捉えれば良いのでしょうか。

コロナ後遺症に限らず感染症にかかった後は、多くの場合体の虚損を伴います。
体内では病邪と激しく戦争を繰り広げますから、普段活動に回していたエネルギーを極力抑えることで、体を動かないようにさせて(風邪を引くと倦怠感を伴う)、その分のエネルギーを病邪(ウイルス・細菌など)と戦うことに使用します。

そのため、病邪との争いに勝利したとて体は疲弊している状態です。
そこから円滑に体力の回復が行えれば、数日でもとの生活に戻れます。
しかし、炎症が治まりきらなくて種火が燃え続けていればジワジワと体をむしばみ、本来回復するはずのエネルギーが補充されず、ずっと不調が続いた状態が続いてしまいます。

この症例でも同様に、もともと体が強くないタイプの方でしたので、より一層「虚」の側面が強くなってしまい、不整脈という形で症状が出たのだと思います。

そこで、不足したパワーを補いながら自律神経を整える作用の漢方薬をお渡ししました。
服用してから、数日で大きな胸の鼓動や胸痛はなくなりました。
1週間の服用で脈が飛ぶ頻度も減少するようになりました。


体の不調の要因には流れがあります。
発症の要因となったものが、時間経過の中で今どこにあるのか、そしてそれが今起きている症状とどれくらい関連しているのか。

病気を発症してから現在に足るまでのストーリーを一連の流れとして捉えることができると、的確な病態把握ができるのだと思います。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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