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治療について

問診で大切なことは話を聴くこと

「話を聴いていただいて、気持ちが楽になりました。」

漢方薬局を始めてから、よく言われるようになりました。

日常生活ではなかなか耳に出来ない言葉の一つ。

振り返ってみると、仕事以外(特に身内になればなるほど)、私は相手の話に耳を傾けられていない・・・と反省るすことが少なからずあります。

よくよく考えてみると、多くの人は相手の話を聴くより自分の話を聴いてほしい願望の方が強いのだと思います。。

そうだとすると、自分の話をじっくり聴いてくれる場所というのは、意外に少ないのかもしれません。

人の話をしっかり聴くのには、話す以上にエネルギーを消費するものです。

ですが、このブログでも何度も出てきていますが、

「漢方薬は人を診る医学」

であるので、漢方家の端くれでもある私としては、患者様にとっては、他愛のない言葉の一つ一つも、金塊を見つけた時のように、患者様のお身体の状態を知る貴重なヒントだったりすることもあります。


相談者:70代 女性

普段から通ってくださる常連の患者様です。

非結核性抗酸菌症という病気で、咳や血痰が出てしまうのを予防するために漢方薬を服用しています。

現在は症状が安定しており、症状の再発防止のために1日分を半量にして服用してもらっています。

症状が安定しているので、本来なら同じ処方の継続で良いのですが、今までと違う事がありました。

・非常に疲れている
・ストレスが溜まっている

という事でした。

詳しい話の内容は割愛しますが、そのような話がちょくちょくと出てくるのです。

今回は処方は変えずに前回通りの処方で様子見をしたのですが、次回以降は注意すべきポイントです。

もう少し状況が悪くなっていたら、処方は変更していたでしょう。

今回は処方はそのままですが、生活習慣が乱れないようなアドバイスやストレス対策についてのアドバイスも、行いました。

その結果が、冒頭の

「話を聴いていただいて、気持ちが楽になりました。」

に繋がったのです。

ただ、こういった事は、病気の状態だけを伺っていても知りえなかったでしょう。

一歩、踏み込んだ話ができる程、信頼関係が築けるかどうかも大切な事です。

そして、患者様の話にしっかりと耳を傾け、小さな情報もキャッチできるように常にアンテナを貼っておく必要があります。

一方の患者様も、こんなこと話していいのかなとためらう場合もあるかもしれませんが、何気ない会話の中に大きなヒントが隠れていることがあるので、気兼ねなくお話ししていただけると幸いです。

私自身、より一層話しやすいと、思っていただけるような雰囲気作りや人間性を突き詰めていきたいと思います。

漢方薬局はただ薬を処方するだけではありません。

患者様にとってのベストはなにであるのか。

そこを一緒に考えていく場でもあるのだと、最近は思うようになりました。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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