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症例紹介

症例56 不眠症に柴胡加竜骨牡蛎湯

30代前半 女性
相談内容:寝付きが悪く、ちょっとした物音で目が覚めてしまう

ここ数週間、仕事が忙しくなり夜眠れなくなってしまいました。
もともと睡眠が深くはなかったのですが、このところ寝付きが悪く眠れても少しの物音で目が覚めてしまいます。
とりわけ、次の日に仕事があるとよけいに眠れなくなります。

また、不整脈があり夜中に動悸がして、目が覚めることも多々あります。

<その他の困った症状>
・ちょっとしたことでイライラしやすく、怒りが爆発しやすい
・のどがつかえている感じがする

処方選択

最初はイライラして怒りが爆発しやすいところとのどのつまり感があるというところを手がかりに、安直に「抑肝散+半夏厚朴湯」をお出ししたものの、効果が見られませんでした。

そこで、イライラやのどのつまりは「不眠」がきっかけとなって発症しているのではないかと考えてみました。

「不眠→自律神経の乱れ→イライラ・のどのつまり」

よく眠れていれば、自ずとイライラなどの症状は改善してくれると思い、柴胡加竜骨牡蛎湯をお渡ししました。
すると、服用して数日で寝付きがよくなり、よく眠れるようになりました。
夜中の不整脈の動悸は相変わらずありますが、頓服薬のお薬で対応することで睡眠の質が高まっているようです。

考察・まとめ

前回に引き続き、今回も柴胡加竜骨牡蛎湯の症例をご紹介しました。

柴胡加竜骨牡蛎湯は精神がたかぶった時の睡眠不良に、よく用いられる処方です。
同様に、抑肝散も精神がたかぶった時に用いる処方です。
抑肝散と柴胡加竜骨牡蛎湯の違いは、抑肝散は「血虚」が主体の処方で、柴胡加竜骨牡蛎湯は「柴胡剤+竜骨牡蛎」の組み合わせの処方であることです。

精神的なお悩みのご相談は、当店ではコロナ以降増えているので、処方の違いを意識してお出しするようにしたいところです。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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