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症例紹介

症例55 高血圧と動悸に柴胡加竜骨牡蛎湯

50代 女性
相談内容:高血圧と動悸(特に動悸がつらくて目が覚める)

ここ数週間、動悸が顕著にするようになりました。
もともと疲れたときやストレスがかかった時に、動悸がすることがありましたが、最近は頻度と強度が増しています。

親の介護で疲れとストレスがあります。
動悸がするせいで睡眠の質も下がり、夜中に目覚めてしまうこともあります。
そのせいか、血圧も高く170〜180/90〜100nnHg程あります。

今は動悸が気になっているので、なんとか早く改善できればと思っています。

食欲は少し落ちていますが、胃腸の状態はまあまあです。
体型:中肉中背〜やや痩せ型
毎晩ビールを飲んでいます。
疲れのせいか時々胃腸が弱り、胃痛や食欲低下を起こすことがあります。

処方選択

この方は、以前はめまいもあり、その時は釣藤散を用いて症状が安定していました。
今回は疲労やストレスの負担が、動悸という形で発症しました。

高血圧やめまいはさまざまな要因がありますが、漢方では過剰な陽気がゆらゆらと頭部に上ってしまうことで、脳が過剰な興奮を起こしてしまい、めまいや高血圧が生じていると考えます。
これを漢方では肝陽上亢(カンヨウジョウコウ)といいます。

今回はこの過剰な陽気が心に聚まり、熱となって心の機能が異常に活発になってしまったせいで、動悸を起こしていると考えます。
そこで、過剰な陽気を下ろして心の機能を正常化する漢方薬を用いることにしました。

処方:柴胡加竜骨牡蛎湯

服用して数日で効果を実感されて、7日間の服用でほぼ動悸を感じなくなったため、本人希望により服用を終えました。

考察・まとめ

今回の症例では、7日間の短い期間で症状が安定するまでにいきました。
煎じ薬でお出ししたため、エキス製剤より早く効果を実感できたのかもしれません。

介護生活はまだ続いており心身への負担は依然として大きいため、私としてはもう少し長い期間服用を続けて、再発予防をしたいところですが、今回はこれで終了となりました。

血圧に関しては、1週間の服用で160/90〜100mmHgで若干収縮期血圧が低下していますが、これはたまたまかもしれないので、なんとも言えません。

また、この患者様からお困りごとを相談された際には、期待にお応えできるようにしっかりと処方の選別を行っていこうと思います。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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