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治療について

歯髄炎と漢方薬

先日、いつもいらっしゃる患者様から「歯髄炎」のご相談を頂きました。

歯髄とは、歯の最も内側に位置する神経や血管が集まった組織のことで、歯髄炎はこの部位に細菌感染したり、歯ぎしりや噛み合わせによる負荷で炎症が生じたものです。
歯髄炎は内部で生じているので、発赤や充血、腫脹、熱感などを認めるのは困難です。

その代わりに疼痛が強く、急性の歯髄炎では物を噛む時など、何かが触れるだけで飛び上がるほど痛むのが特徴です。
実際に、この患者様も咀嚼時に強い痛みを自覚しているようです。

歯医者さんに通っているようですが、なかなか改善していないようです。

歯髄炎の主な原因は虫歯であるので、根本治療は歯科にて虫歯治療を行ってもらうことです。
ですので、東洋医学がメインとして機能することはなく、あくまでも「炎症を鎮めて疼痛を緩和させる」ことと化膿している場合は「化膿に対応する」ことを目標として使用していきます。

炎症を抑えるものとしては、「黄連(オウレン)・黄芩(オウゴン)・石膏(セッコウ)・竜胆(リュウタン)」などの清熱解毒薬をメインとして用います。

化膿している場合には、「桔梗(キキョウ)・連翹(レンギョウ)・金銀花(キンギンカ)」などを用います。

痛みが強い場合は止痛作用のある生薬を配合させていきます。

代表的な漢方薬としては「立効散」「桂枝五物湯」「排膿散及湯」「葛根湯加減」などが該当します。

この患者様にも歯髄炎の痛みに対応すべく、漢方薬をお渡ししましたが、次回のご来局までに痛みがどれほど軽減できているかです。 (歯医者さんの治療も同時進行なので、漢方薬の効果を判定するのは難しいですが)

もし、歯医者さんでの治療を終えても痛みが取れない場合は、漢方薬で可能な限り対応しようと思います。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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