睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬といった抗精神薬を
すすんで服用したいという方はいないでしょう。
そのためか、
抗精神薬の代替として、漢方薬を希望する方も
いらっしゃると思います。
症状の重さにもよりますが、抗精神薬を使っても、
数年の月日を要することがあります。
その間に良くなったり悪くなったりを
繰り返しながら、寛解へと向かっていきます。
一方の漢方薬は抗精神薬のように、作用が強くなく
治療に時間を要するものの穏やかで、
「副作用が少ない」というのが、
最大のメリットと言えるかと思います。
しかし、実際のところ漢方薬は抗精神薬と
同じような作用をするのか、もしくはそれ以上の効果が
あるのか。
この辺りはまだ、私自身も勉強不足で実践不足ではありますが、
現時点での考えをまとめてみたいと思います。
結論からいうと、
精神疾患(うつ病、統合失調症など)を漢方薬で
根治することは極めて難しいということ。
その理由として、
①効果の判定が困難であること
②完治まで見届けることが困難であること
が挙げられます。
一つずつ解説していきます。
①効果の判定が困難であること
精神疾患たとえばうつ病を例にとった場合、
気分のアップダウンは睡眠時間が取れたことや
何かしらいいことがあったりだとか、
ちょっとしたことで影響を受けます。
そうなってくると、果たして漢方薬のおかげで
改善されているのか、別の要因で改善したのかを
判定することが難しいのです。
また、本人の性格や気質もあるので、
何をもって根治とするかは判断が難しいというのもあります。
もちろん漢方薬が全く効かないわけではなく、
なかには劇的に効果が現れることもありますが、
最初のうちは変化がわかりづらい場合もあります。
なので、明らかに効果が実感できていない場合には、
服用を続けていけば、改善していくのか、
それとも薬の変更が必要なのかを見極めるのが、
非常に難しいと感じています。
②完治まで見届けることが困難なこと
私のような自費で漢方薬を出しているところですと、
一月に15,000〜21,000円程の費用がかかります。
抗精神病の場合は治療に数年を要します。
そうなってくると、
累計するとかなりの金額が必要となり、
なかなか効果があらわれにくい時期になると、
治療を離脱してしまうことも
大いに起こりうります。
このような理由から、
漢方薬で精神病やうつ病などを完治させるのが難しいと
言えます。
では、漢方薬が精神病に全く効果がないかというと
そんなことはありません。
精神病やうつ病に伴う、
いくつかの身体症状には効果を発揮する事があります。
たとえば、疲労感や睡眠障害、食欲低下などは
漢方薬で改善することも可能です。
その結果、自信がついたり、生活リズムが安定して、
本体の精神疾患の改善にプラスに働きます。
とは言え、
気分や身体症状も波がありますので、
短期で治るということではないので、
数ヶ月〜数年かけて、じっくりと腰を据えて
治療に取り組まなければなりません。
先日も精神的なお悩みの方をみたのですが、
1年近くでだいぶ改善しましたが、
根治までは至りませんでした。
10→5まで改善することが出来るだけでも、
大いに意義があると思います。
自信をつけてもらったら、生活習慣の改善を
施しながら、ゆっくり治していくのが良いかと思います。
コメント