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症例紹介

症例49 頭痛と倦怠感に温経湯

30代後半 女性
相談内容:頭痛と倦怠感を改善して欲しい

3年前に第三子を出産してから、頭痛と倦怠感が出るようになりました。
2年ほど前からは、明らかに頭痛のために鎮痛剤を服用する頻度が増えてきました。

頭痛は首こりからきている気がしており、ひどいと吐き気をもよおします。
また、月経後にも頭痛は起きやすいようです。
頭が重く午後になると悪化します。
頭痛の痛みは、こめかみの部位がギューっと締め付けられる感じです。

<全身症状>
食欲・量はもともと食が細く、人より少なめ
手足先の冷えが強い
のぼせやすい

<月経状態>
月経周期:32〜35日
期間:10〜14日(3人目出産後)
月経痛:痛みに波がある

処方選択

華奢な体型ではあるものの、3人のお子様を育てていらっしゃいます。
本人は肩こりが原因で頭痛が生じていると考えておりますが、原因はそれだけではなさそうです。

気になるのは、「月経期間の長さ・3人の出産」です。

一般的に産後は大量のエネルギーを消費します。
産後のエネルギー消耗は、身体のエネルギーだけでなく、物質的な血も含みます。
本来なら産後はゆっくりと体力回復につとめるのが理想ですが、現実にはすぐに子育てが始まり、充分な休息をとることもできないことがほとんどです。

今回の症例では、まさに産後で体力が回復しきれていない状況で、無理をしていたために生じたものと言えます。
そこで、体力の回復を図るべく、以下の処方をお渡ししました。

処方:温経湯(ウンケイトウ)

3週間の服用
・月経期間9日、経血量減少
・倦怠感の減少
・頭痛はあるものの、軽度で済むようになる

その後は波はありながらも、徐々に改善していき、8ヶ月ほど服用して治療を終えました。

考察

温経湯は読んで字の如く、経(経絡)を温める処方です。
ですが、処方構成を見ると身体を温める生薬だけでなく、血や陰を補う生薬も同等に配合されています。
身体のエネルギー(温める機能)が不足すれば、当然ながら血や陰も不足しがちになります。
出産や更年期といった局面では、まさに陰陽が極度に落ちやすくなります。

そのような時には温経湯が力を発揮してくれます。
また、治療を終えた後も、体質的に身体は弱りやすいので、日常生活でも無理をしすぎないことが大切です。

今井 啓太

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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