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症例紹介

症例13 動悸・耳鳴り・咳・胃もたれに効果を発揮した漢方薬

西洋薬では通常、一つの病気・症状に対して、一つの薬が対応します。

例えば、風邪の場合、咳があれば咳止め、痰が出ていれば痰の切れを良くし、高熱であれば解熱剤が出たりと、症状と薬・病気は基本的に一対一の関係にあります。

漢方薬は病気そのものを診るのではなく、人を診る医学であるので、症状と体質に合わせて、薬を処方すると、複数の症状が一気に解決することも可能となります。


30代 女性

もともと精神疾患を患っており、複数の抗精神薬を服用なさっていました。

しかし、ずっと続けていくのは辛かったので、期をみて、薬を減らして、最終的に服用を中止しました。

ちょうどその頃、風邪を患ってしまい、特に咳が続いており、市販の漢方薬を服用してみたようです。

すると、その薬が効果てきめんのようでして、咳は少しずつ治ってきて、さらに、以前からあった耳鳴りが軽減、胃のムカつきや逆流性も軽減し、動悸も鎮まってきたとのことです。

しかし、薬が効きすぎているのが反って不安になって、当店にいらっしゃいました。

話を伺っていると、なるほど、それは確かに漢方薬の効果があるなと思いました。

その漢方薬は「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」です。

この漢方薬はもともと、婦人病の梅核気、今で言うところのヒステリー球といって、精神的なストレスによって、喉が塞がったような不快感を呈する病態に、使用される漢方薬です。

今回はそのような症状ではなく、複数の症状に効果を発揮しました。

ここまで効果を発揮するとはこちらもびっくりしましたが、処方と病態が合致していれば、一種類の漢方薬で驚くほど効果を発揮するのだということです。

半夏厚朴湯の治療の根本は「胃」です。

元来の胃腸の不調が全身に波及していると考えられるので、今回のように様々な症状に効果を発揮しました。

ですので、患者様にはこの漢方薬はあっているので、もう少し続けてみてくださいとお伝えしました。

今後調子が上向きになることを願いながら、患者様から漢方薬の本質を教えていただいたような、そんな出来事でした。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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