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症例紹介

症例23 のどの違和感について(電話相談)

この頃はコロナの影響もあって、ちょっとした風邪症状でさえ今まで以上に神経をすり減らしてしまいます。しかし、コロナに紛れて一般の風邪もありますので、最善の注意を払うのは大切ですが、必要以上に不安になってしまわないことも大切です。

今回は以前に処方をした方から、電話での風邪相談にお答えした症例になります。


30代 女性 のど〜肺の違和感

この患者様は複数の漢方薬を常備していたこと(持ち合わせの漢方薬で対応できるかも)、当店から数駅離れたところに住んでおられたので、来店するのが難しいと判断して、電話で話を伺うことにしました。

<症状の経過>

4日前にのどの違和感を覚える。そこで、手持ちの麦門冬湯(バクモンドウトウ)を服用してみるも、効果なし。翌日になると、少し咳と痰が出るようになったので、小青竜湯(ショウセイリュウトウ)→麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)→さらに参蘇飲(ジンソイン)といった咳に効果的な漢方薬を服用してみるも、効果なし。さすがにどうすれば良いか困り果てて、相談するに至ったわけです。

現在の状況を確認すると、肺部に違和感があり、鼻水が少し(やや粘っこい、のどの方に落ちてくる後鼻漏あり)、咳は少し、のどの痛みも少し、鼻詰まり少し、寒気や頭痛などの風邪の初期症状はなし。体温も正常。

どれもスッキリとしない感じが鼻〜肺にかけてあります。ただ、どれも強烈な症状はなく、ジワっと引きずっている感じです。これは、風邪の程度としては強くないですが、発病してから日数がへて治り切らずに体内に残っている状態です。この方はもともと虚弱なタイプであり、病邪を追い出す力が足りなかったので、いつまでも治り切らずにいたのだと考えられます。

相談に至るまでに使った小青竜湯や麻杏甘石湯は比較的強力に風邪を追い出す処方なので、体力が弱い方にはあまり向きません。

今回の場合はただ病邪を追い出すだけでなく、弱っている気力を高めて、病気を追い出す力をつけることも必要です。これにうってつけなのが小柴胡湯(ショウサイコトウ)です。内部で停滞している病邪を発散しますが、正気は傷つけません。さらに桔梗石膏(キキョウセッコウ)を足して、肺部の炎症を鎮静する作用を強化させます。

処方:小柴胡湯+桔梗石膏

幸い、小柴胡湯加桔梗石膏のエキス剤を持っていたので、1日3回服用してもらいました。

電話だけで判断したので、果たして正しく見立てだできたのか、不安もありましたが、2日後にお電話で確認したところ、「服用したらすぐに効いて、今はすっかりよくなりました」と喜んでおられました。思わずこちらのホッとしました。


漢方薬は長く飲まないと効かないということはありません。というか、私なら効果が出るかわからないまま、我慢して長く服用することはできません。

特に風邪のような急性症状は変化が早く、早急に対処しないと長引かせてしまうことになります。

「病態をスパッと見極めて、速やかに寛解させる」

終わることのない永遠のテーマですが、いつまでも追い続けたいと思います。

今井 啓太

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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