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症例紹介

症例74 風邪後の急性副鼻腔炎に漢方薬が奏功した症例

人は誰でも、失敗をすることがあります。

ありがたいことに、私はさまざまな漢方相談をさせていただきました。
ですが、すべてが思い通りに改善するわけではなく、処方選択に難渋したり、申し訳ないことに多くの失敗を重ねてきました。

失敗の一つに、急性副鼻腔炎で改善させられず、治療を長引かせてしまった苦い経験があります。
今回は同じような急性副鼻腔炎のご相談をいただいたので、過去の失敗を繰り返さないように注意してのぞみました。

症例

相談者:40代前半 男性
相談内容:風邪後の急性副鼻腔炎

1週間ほど前に微熱が出ましたが、1〜2日で熱は下がりました。
その後、透明の鼻水が多量に出て、咳が出るようになりました。

病院で診てもらったところ、抗生剤や抗アレルギー薬、痰を切るお薬などが出ました。
咳は数日で治ったのですが、鼻水は止まらず徐々に黄色の鼻水に変わっていきました。

そうこうしているうちに、左側の上下の歯と左前頭部が痛くなってきました。
鼻水も左鼻だけ黄色〜オレンジ色の鼻水がとめどなく出て辛いので、漢方相談に伺いました。

食欲やや低下
便通正常

処方選択

病院で副鼻腔炎と診断されたわけではないのですが、症状からおそらく急性副鼻腔炎であろうと思われます。
副鼻腔炎では鼻の横あたり(上顎洞)が痛むことが多いですが、今回の症例のように痛みが神経に波及して歯の辺りが痛くなることもあります。

副鼻腔炎で処方選択する場合は、鼻水の性状や痛みの有無を確認します。

今回はかなり濃い色の鼻水(鼻漏)で、炎症の度合いも強いようです。
痛みも強いようなので、止痛作用のある生薬も必要となります。

急性状態でしたので、一気に炎症を散らして慢性化しないように処方を組み立てました。

処方)葛根湯加辛夷川芎+α(炎症を鎮める漢方薬)

1日分を服用した時点で、痛みが10→3くらいに軽減しました。
最初の1、2回服用したところ、オレンジ色の鼻水が大量にドバッと出ましたが、それ以降徐々に色が薄くなっていきました。

3日分を服用したらほぼ痛みがなくなり、鼻水の量も減少し色も透明になりました。
下を向くと、たまに上の歯がズーンとなることがあるので、もう3日間お渡しして治療を終えました。

まとめ

以前、急性の副鼻腔炎の初期対応で手こずってしまい治療を長引かせた結果、患者さんにはご迷惑をおかけしてしまったことがありました。
今回は幸い順調に治療を進められることができ、短期間で寛解させることができました。

副鼻腔炎の中には、今回のように抗生剤を服用しても改善しない場合も少なからずあります。
抗生剤を服用しても症状が改善しないような場合には、漢方薬が思わず奏功することがあります。

ぜひ、お困りの場合は漢方専門の医療機関にご相談ください。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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