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症例紹介

症例71 扁桃炎と口内炎に漢方薬が奏功

「体質」は漢方薬を決定する際に参考となることがあります。
アレルギー体質であったり、胃腸が弱い体質、イライラしやすい体質など、人によって特徴があります。

漢方で体質という時は、基本的にはその人の弱点を教えてくれるものになります。

今回は体質的な問題で生じた相談についての症例をご紹介します。

コラム「扁桃炎 / 咽頭炎に用いる漢方薬」についてはこちらをご参照ください

コラム「症例67 慢性扁桃炎と慢性上咽頭炎に漢方薬が奏効」

扁桃炎と口内炎の漢方相談

相談者:高校生 男性
相談内容:のどの腫れによる痛みと口内炎の改善

1週間ほど前から扁桃腺に白い膿栓ができ、痛み始めました。
数日前からは口内炎も出てきて、口内とのどの両方が痛んでつらいです。

市販の銀翹散(ギンギョウサン)を服用したところ、多少改善したもののまだ痛みが残るので何とかして欲しいということで来局されました。

口内炎は円形で、中心部が白っぽくなっているアフタ口内炎です。

ここのところ、アルバイトが忙しかったり、外食が増えたり、睡眠時間が減ったりしていたようです。

もともと慢性鼻炎をわずらっていて、年中鼻炎や鼻づまりの状態です。
また、小児時にアトピー性皮膚炎にかかり、今でも油断すると肌が荒れやすいです。
不規則な生活をすると大きなニキビが顔や首後ろ、背中などに発症することも少なくありません。

肌は浅黒く、背は大きいのですが、太れない体質でスラッとしています。

処方選択

扁桃炎や口内炎といった口の中の炎症症状は、通常であれば数日で自然に軽減することが多いです。
しかし、なかなか改善しない場合は、炎症の度合いが大きいため、漢方薬などで炎症を鎮める手助けが必要なこともあります。

今回の場合も発症してから少し時間が経っているので、漢方薬での治療を試みました。

発症の要因は食事や睡眠など、生活が不規則になってしまったことだと考えられます。
誰でも生活が不規則になることはありますが、かといって誰もが生活が不規則になったからといって扁桃炎や口内炎になるわけではありません。

この方は、「体質的」な要因があるために扁桃炎になったのだといえます。

慢性鼻炎
アトピー体質
化膿性ニキビが生じやすい など

これらの性質を兼ね備えたものに、「解毒症体質」という分類の体質があります。

解毒症体質の場合は、耳鼻科疾患にかかりやすく、化膿性炎症を生じやすい特徴があります。
今回のケースもまさに解毒症体質の典型でしたので、解毒症体質を改善する漢方薬を用いました。

処方)荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)

5日分をお渡ししたところ、数日で口内炎も扁桃炎もスッキリと良くなりました。

まとめ

今回は「体質分類」に照らして、漢方薬を選択しました。
解毒症体質の漢方薬は本来なら長期間服用して、それこそ体質改善に用いるものなのですが、患者様の希望は今の症状をとることにあるので、これで治療を終えました。

症状がとれればオッケー、というのもゴールの一つです。
*この決しておいしい味の漢方薬ではないですし・・・

体質改善という名の漢方薬でも、合致していれば数日でも症状の改善がはかれます。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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