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症例紹介

症例57 頭痛に桂枝湯加減

10代 女性(高校生)
相談内容:頭痛(12月初旬の相談)

3年前(中学生)から月に1〜2回は頭痛があったのですが、2〜3週間前から、ほぼ毎日側頭部や目の奥が痛むようになりました。

数日前に40℃の発熱が数日続き、発熱が治った後からさらに頭痛が悪化しました(コロナ・インフルエンザは陰性)。

脳神経内科・耳鼻科・眼科等で検査をするも異常はありませんでした。

痛みが強いので市販の鎮痛剤を1日2回服用して、なんとかやり過ごしています。
痛みは波があり、起床時から痛むときもあります。
痛みが強いと吐き気が生じます。

頭痛の要因はよく分かりませんが、月経や天候などは関係がありません。
ここのところ勉強が忙しいので、夜はカフェインの錠剤を飲んで眠気を覚まして勉強をしています。
そのため、寝る時間も遅くなり睡眠時間も減って5〜6時間ほどです。
またカフェインは夜だけでなく、日中もコーヒーを数杯飲んでいます。

処方選択

頭痛による相談は当薬局でも多い部類になります。

頭痛の要因として、
・気象病(天候不良で発症する)による頭痛
・頭のオーバーヒート(仕事や勉強で頭が興奮状態にある)による頭痛
・肩こりからくる頭痛
・月経周期に関連する頭痛
これらに該当する場合が多いです。

今回の場合は上記のいずれでもなく、カフェイン摂取過多によるものに加えて、睡眠不足が重なって発症したものと思われます。
また、ダイエットもしているようで食事も制限していたようで必要な栄養が不足している状態でした。
年齢も若いので、自律神経が乱れ脳内の血流が乱れてしまったことが頭痛の要因と考えられます。

そのため、食事の説明とカフェインを控えてもらうこと、さらには睡眠時間をもう1〜2時間は最低でも増やす必要があることを説明しました。
その上で、身体の発達を促す処方(桂枝湯加減)をお出ししました。

8日間の服用:鎮痛剤1日2回→1回、頭痛の頻度減少
さらに10日間の服用:頭痛がなくなり、鎮痛剤も必要無くなりました。
念の為、もう2週間お渡しして、漢方薬の服用を終了しました。

考察・まとめ

今回のケースでは、生活習慣の改善だけでも頭痛は消失していたのかもしれません。
本人も言われた通りカフェイン摂取を減らし、睡眠時間を増やし食事も改善してくれたので、すぐに効果が現れました。
漢方薬だけでは、このように早く効果は現れなかったのではないかと思います。
発症から間もなく、年齢も若いため、生活習慣を改善するだけで漢方薬の効きがよくなり、すぐに効果を実感できたのでしょう。

このように、生活習慣は体調を左右する大事なバロメーターになります。
体調が悪くなると、すぐに薬を服用したり、検査をしなければと考えてしまいますが、まずは自分の生活習慣に問題はなかったのかと、振り返ることも大切だと学ばせていただいた症例です。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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