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症例紹介

症例5 痰が溢れて気持ち悪い

40代女性

主訴:痰が溢れてきて気持ち悪い

日常忙しくしていると痰は気にならない。

しかし、昼食後やお風呂に入っている時など

気持ちが落ち着いている時になると、

鼻の後ろ〜口の後ろあたりに

多量の痰が溢れてくる。

痰の色は白色で少し粘稠である。

口から痰を吐き出すと、

いくらか気分は楽になるものの、

痰が出せる環境にないと、

気持ち悪くなってきてしまう。

そんな状態で、はじめに

小柴胡湯+桔梗を出すも無効。

次いで、

葛根湯加辛夷川芎に切り替えたところ、

これが著効。

徐々に痰は減少に転じる。

痰が多量にではじめた時に服用すれば、

症状が抑えられる。

まだ完治には至っていないものの、

状態は安定しており、

継続中である。

(葛根湯加辛夷川芎:1ヶ月半服用中)

考察

食後に痰が溢れてくること、

病理の慢性化を考慮して、

小柴胡湯を初めに使用したが、

効果はなかった。

しかし、葛根湯加減が功を奏した。

これよりこの病態はまだ鼻や気道などの

浅い部分で生じているものである。

葛根湯特有の明確な「悪寒、発熱、項背強」

はなく、慢性化により病位は鼻に限局(+川芎、辛夷)

している状態であった。

このあたりの見極めはなかなか難しいと思われるが、

病気の進行状況を見極めて、

もっと正確に判断できると、

治療を早めることができるのかもしれない。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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