漢方薬は自然由来のものだから副作用は起きない、どんな方にも用いることができると思っている方もいるかもしれません。
しかし、漢方薬は読んで字のごとく「薬」に分類されています。
ですので、副作用がないわけではありません。
この副作用はあらかじめ知っておけば未然に防ぐことができたり、もしくは起きてしまった場合でもすぐに対応することで、大きな被害を逃れることができます。
漢方薬の副作用について詳しくは、コラム「注意すべき漢方薬の副作用と対策法」をご覧ください。
今回は食物アレルギーがある方に漢方薬を使うことができるのか、というテーマで解説していきます。
結論からいうと、食物アレルギーがある場合は一部の漢方薬が使えなくなる可能性があるということです。
漢方薬は主に植物や鉱物で構成されていて、食品としても使われるものがあります。
もちろん、食物アレルギーもその時の体調やアレルギー度合いによってアレルギー反応が起こるわけではありませんが、注意しておくことに越したことはありません。
そのため、食物アレルギーがある方は事前に医師や薬剤師に相談の上で使用した方が良いでしょう。
食物アレルギーがある人が注意すべき漢方薬
漢方薬は1つの生薬で構成されているわけではありません。
*生薬:自然界の植物、動物、鉱物のうち薬物として利用可能なもののこと
漢方薬は、複数の生薬を組み合わせることで効果を増強させたり、副作用を軽減するように調整されています。
*漢方薬について詳しくは「漢方薬について」をご覧ください。
食物アレルギーは、漢方薬を構成する生薬に影響して生じる可能性があります。
食物アレルギーと関連がある漢方薬の一覧
実際に、どんな食品が漢方薬の原料として使われているかご紹介します。
これらが必ずしも食物アレルギーを起こすわけではありませんが、知っておいて損はないかと思います。
*私自身の備忘録としても活用したいと思います。
*この一覧は末尾にある参考資料から一部抜粋しています。
*太字になっているのは、病院で処方される医療用医薬品に該当するものです
【生薬名】-
【代表漢方処方】漢方エキス製剤全般
【備考】詳しくは次項で解説しています
【生薬名】膠飴(コウイ)・粳米(コウベイ)
【代表漢方処方】小建中湯(ショウケンチュウトウ)・大建中湯(ダイケンチュウトウ)・麦門冬湯(バクモンドウトウ)・白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)など
【生薬名】小麦(ショウバク)
【代表漢方処方】甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ)・厚朴麻黄湯(コウボクマオウトウ)など
【生薬名】生姜(ショウキョウ)
【代表漢方処方】葛根湯(カッコントウ)・真武湯(シンブトウ)・加味逍遙散(カミショウヨウサン)・半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)など
【生薬名】桂皮(ケイヒ)
【代表漢方処方】葛根湯(カッコントウ)・桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)・五苓散(ゴレイサン)・安中散(アンチュウサン)など
【生薬名】牡蛎(ボレイ)
【代表漢方処方】柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)・桂枝加竜骨牡蛎湯(ケイシカリュウコツボレイトウ)・安中散(アンチュウサン)など
【備考】漢方薬で用いる場合は牡蠣の貝殻を使うので、影響がないかもしれませんが、注意は必要です。
【生薬名】杏仁(キョウニン)
【代表漢方処方】麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)・麻黄湯(マオウトウ)・麻杏薏甘湯(マキョウヨクカントウ)など
【備考】バラ科に属するので「バラアレルギー」がある方は注意が必要です
【生薬名】陳皮(チンピ)・橘皮(キッピ)
【代表漢方処方】六君子湯(リックンシトウ)・茯苓飲(ブクリョウイン)・補中益気湯(ホチュウエッキトウ)・抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)など
【生薬名】半夏(ハンゲ)
【代表漢方処方】六君子湯(リックンシトウ)・半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)・半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)・半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)など
【生薬名】山薬(サンヤク)
【代表漢方処方】八味丸(ハチミガン)・六味丸(ロクミガン)・啓脾湯(ケイヒトウ)・牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)など
【生薬名】桃仁(トウニン)
【代表漢方処方】桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)・桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)・疎経活血湯(ソケイカッケツトウ)・大黄牡丹皮湯(ダイオウボタンピトウ)など
【生薬名】胡麻(ゴマ)
【代表漢方処方】消風散(ショウフウサン)など
【生薬名】薏苡仁(ヨクイニン)
【代表漢方処方】桂枝茯苓丸加薏苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)・麻杏薏甘湯(マキョウヨクカントウ)・薏苡仁湯(ヨクイニントウ)・腸癰湯(チョウヨウトウ)など
【生薬名】阿膠(アキョウ)
【代表漢方処方】芎帰膠艾湯(キュウキキョウガイトウ)・炙甘草湯(シャカンゾウトウ)・温経湯(ウンケイトウ)・猪苓湯(チョレイトウ)など
【生薬名】淡豆豉・香豉(タントウシ・コウシ) / 甘草(カンゾウ) / 葛根(カッコン) / 黄耆(オウギ)
【代表漢方処方】銀翹散(ギンギョウサン)・葛根湯(カッコントウ)・補中益気湯(ホチュウエッキトウ)他多数
【生薬名】艾葉(ガイヨウ)
【代表漢方処方】芎帰膠艾湯(キュウキキョウガイトウ)など
【生薬名】薄荷(ハッカ)
【代表漢方処方】加味逍遙散(カミショウヨウサン)・防風通聖散(ボウフウツウショウサン)・荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)・荊防排毒散(ケイボウハイドクサン)など
牛乳
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしたり、下痢をする人は「乳糖不耐症」といわれます。
日本では乳糖不耐症の方は20〜30%いると言われています。
漢方薬としては牛乳を使うことはありませんが、漢方薬のエキス製剤には乳糖が含まれていることが多いので、注意が必要です。
漢方エキス製剤とは、病院で処方されたり、ドラッグストアで販売されている顆粒状もしくは細粒状の漢方薬のことです。
漢方エキス製剤は複数の生薬を煮出した液体(煎じ液)を濃縮・乾燥させたものですが、固める際に乳糖を用いることが多いです。
そのため、乳糖不耐症の人は漢方エキス製剤を服用するとお腹の調子が悪くなってしまうことがあります。
その場合は、乳糖の含まれていないメーカーの漢方薬を用いることをおすすめします。
まとめ
漢方薬には、食品アレルギーの表示義務がありません。
そのため、知らず知らずのうちに食物アレルギーを引き起こす生薬を含んでいる可能性があります。
かりに食物アレルギーの可能性がある漢方薬を服用したからといって、必ずしもアレルギー症状が出るわけではありません。
ここにあげたもの以外にも、食物アレルギーを起こすものがあるかと思います。
また、随時更新していきます。
参考資料
・緒方千秋監修 漢方服薬指導Q&A Vol.2 日本漢方生薬製剤協会 2014
・『漢方一問一答 99の素朴なギモンに答えます!田中耕一郎 著 / 入江祥史 編著』(中外医学社)P173








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