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症例紹介

症例53 ゲップ?が止まらない

40代前半 男性
相談内容:終始ゲップが出てくる

1年半ほど前から、ゲップが出るようになりました。
ゲップは小さめの音のものと大きめの音のものの2種類あるそうです。
大きいゲップはたまにしか出ませんが、小さいゲップは喉が鳴るような感じで頻繁にでてきます。
当初は食後にゲップが多く出ていましたが、今は食事に関係なく出てくるようになってきました。

ちょうど1年半前に転職をして、忙しくなりストレスも大きくなかなか心が休まる時はないとのことです。
ゲップは仕事の日も休日も関係なく出てくるのですが、リラックスしている時や運動をしている時はあまり出ません。

市販薬の半夏瀉心湯や半夏厚朴湯を服用したものの、効果はありませんでした。

処方選択

当初ゲップの相談としてお受けしたのですが、来店した時にゲップの音を確認してみると、ゲップというより喉をならしているような音の出方をしていました。

これはゲップなのか、もしくはのどを鳴らすチック症の様なものなのか、判別がつきませんでした。
というのも、ゲップとチックでは病態が違ってくるからです。

最初は小さなゲップ様だけでなく、大きなゲップも出るとのことでしたので、まずはゲップの病態として漢方薬を選択することにしました。

ゲップが現れた原因は定かではないものの、明らかに仕事のストレスがかかっており、他に思いあたるものもなかった(食事の不摂生や冷えや熱などもない)ので、ストレスからの胃気逆を起こしていると考えて処方を選択しました。

第1処方:四逆散

1週間服用してみたものの、変化はまったくありません。

第2処方:大柴胡湯去大黄

さらに胃への作用を強化してみたものの、大きなゲップがやや減少したものの大きな改善はありません。
その後も、延年半夏湯をベースにした処方に変更しても著しい改善はみられませんでした。

そのため、ゲップではなくチックののど鳴らしとしての治療に変更してみることにしました。
のど鳴らしだとすると、のど周囲の攣縮により音が出てきてしまうので、ただの筋肉の緊張だけでなく、攣縮を抑える(内風を鎮める)処方が必要になります。

最終処方:抑肝散+α

抑肝散をベースに処方を組み立てなおし2週間服用したところ、初めて小さなゲップが減少しました。
その後も服用を続け、1ヶ月服用した時点でほとんど気にならなくなりました。
現在は服用量を半分に減らして様子をみているところです。

まとめ

今回の症例では、患者様の訴えをそのまま解釈するのではなく、実際には何が起きているのかを症状から把握する必要がありました。
もっと早く気づいていれば、、、と悔やまれますが、症状が安定してきているので、とりあえず良かったです。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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