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症例紹介

症例34 1人目を自然妊娠(不妊症の漢方薬治療)

不妊症とは

妊娠を望んでいるものの、1年以上妊娠しないものを不妊といいます。不妊の原因は、女性側の問題、男性側の問題、両方に問題がある場合、何も原因がない場合とがあります。

当薬局にご相談に来られる方は、婦人科で人工授精、もしくは体外受精をおこなっているもののうまくなかなか妊娠にこぎつけない方が大半です。

今回は体外受精や人工授精によらず、自然妊娠にまでこぎつけたケースをご紹介します。

相談内容

30代前半 女性

改善したい内容:不妊症(1人目出産希望)

小柄で胃腸虚弱。

もともとは冷え症と生理痛の改善を求めて、来局されました。

話を伺っていると、出産を希望しており、1年ほど妊活を行っているものの結果がともなっていないとのことでした。

それならということで、冷え症+生理痛を同時に改善だけでなく、妊娠にもアプローチできるように漢方薬を調合しました。

処方考察

不妊症にはいくつかのパターンがありますが、この女性の場合は、冷え+胃腸虚弱+生理不順(遅れ気味)の3つの要因が考えられます。

・冷え:血流が悪くなり、子宮に栄養が届きにくい
・胃腸虚弱:消化吸収力が弱く、身体とりわけ今回は子宮に必要な栄養が不足
・生理不順:ホルモンバランスが不安定となっている。

これらを改善すべく、「胃腸を元気付ける+血流を改善する+子宮や卵巣(卵子)を栄養する血を増やす」漢方薬をご提案しました。

次の生理まで1ヶ月ほど漢方薬を服用すると、生理痛は少し軽減しただけですが、遅れがちとなっていた生理周期は30日周期になり、今まであった出血の塊が、きれいになくなりました。また、胃もたれすることもなく、快適に食事をすることができるようになりました。

さらに1ヶ月、今度は生理痛の改善を強化した処方にして、お出ししたところ、生理が来ませんでした。
内心、また生理周期が乱れてしまったのかと不安になりましたが、つわりが始まり、産婦人科に行ったところ、無事に妊娠が確認できました。

その後は、つわりがひどくて漢方薬が飲めなくなってしまったので、漢方薬の服用は終了となりました。
ですが、わずか2ヶ月で漢方薬のみで自然妊娠に至ることができました。

まとめ

今回は早々と妊娠できた例になります。不妊症においては、生理不順がある場合はまずは生理不順の改善が必須となります。今回も生理の状態を改善することを目標として、治療に取り組みました。

しかし、生理不順は1ヶ月で改善されつつも、生理痛は完全には取り除くことができませんでした。それでも妊娠にいたったのは、30代前半という若さもあったのだと思います。

不妊治療に踏み切られる方は、なるべく早くに漢方薬を併用していただけることをオススメします。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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