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処方解説

のどの痛みに用いる桔梗湯と甘草湯

昨日から気温が下がってきてようやく秋っぽくなってきました。
朝晩は冷え込みが強くなってきて、体調を崩している人もいるかもしれません。

風邪の前兆は人のよって現れ方が異なっており、鼻水、頭痛、だるさ、寒気など有りますが、のどの痛みが生じる人が多い印象を受けます。
そのため、早めに対処して風邪を予防することが大事になってきます。

のどの痛みの対処法ですが、私の場合は龍角散のど飴をなめて、夜は口呼吸しないように口テープをして寝ます。
そして、漢方薬を併用することで早急に改善するように心がけています。

のどの痛みに用いる漢方薬には様々なもののがありますが、今回は「桔梗湯(キキョウトウ)」と「甘草湯(カンゾウトウ)」についてご紹介します。

桔梗湯は「桔梗・甘草」の2種類から成るシンプルな漢方薬です。
桔梗と甘草のどちらもがのどの炎症を抑える作用があり、さらに桔梗は炎症による化膿を抑える働きがあります。

ですので、「のどが赤く腫れて痛む」場合に用います。
例えば、扁桃炎や咽頭炎などの「のどの痛み」に用います。
また、桔梗は化膿して生じた痰を排出する作用もあるので、多少の痰がある場合もあります。

ですが、桔梗湯にはのどの炎症を抑える作用に特化しているので、のどの痛み以外の症状(風邪の初期症状の寒気や発熱などがある場合や激しい咳き込みなど)には対応していません。
そのような場合には、他の漢方薬を用いるか併用して用いる工夫が必要になります。

痰もなくて、咳もなくて、のどの腫れや赤みもほとんどない場合の軽度ののどの痛みには「甘草湯」を用います。

甘草湯には甘草だけしか入っていない珍しい漢方薬です。
(*通常、漢方薬は2種類以上の生薬を組み合わせて用います)

甘草湯は名前の通り、甘い味でのどの炎症を和らげてくれます。
反対に桔梗湯より炎症症状が強く、のどの腫れが強い場合は「桔梗石膏(ききょうせっこう)」を用います。

まとめますと、のどの痛みの度合いによって

甘草湯

桔梗湯

桔梗石膏

という風に分けることができます。

繰り返しになりますが、これらの漢方薬はのどの痛みだけを緩和するので、咳症状や他の風邪症状がある場合には他の漢方薬を用いるか、併用して用いる必要があります。
また、あくまでものどの痛みを緩和させることが目的ですので、症状が緩和したら速やかに服用を終えてください。

のどの痛みは体からの休息のサインですので、なにより大切なことは大事に至る前には早めに休むことです。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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