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風邪の初期に麻黄附子細辛湯

風邪の初期に使う漢方薬といえば、多くの方は葛根湯と答えるでしょう。
実際に当店にいらっしゃる風邪の初期症状の患者様には、葛根湯で改善しているケースが多いです。

しかし、一部の方は①葛根湯で改善しない場合、②胃腸を痛めてしまう場合、もしくは③最適とはいえない場合があります。

①の葛根湯で改善しない場合の多くは、服用方法に問題がある場合が多いので、飲み方さえ変えれば効果を発揮してくれる可能性は十分あります。

②のように胃腸に負担が出てしまう場合は、胃腸に負担をかける可能性のある麻黄を含まない処方もしくは麻黄の含有量が少ない処方にすることで対応ができます。

③の場合は、別の処方が最適となる場合ですが、その一例として麻黄附子細辛湯という処方が効果的なことがあります。
麻黄附子細辛湯は葛根湯よりももっと身体が弱っていて、冷えやすい方の風邪や花粉症などに用いる処方です。


本日、当店に時折いらっしゃる年配男性の方が数ヶ月ぶりにお見えになりました。
その方は複数の漢方エキス製剤を常備しており、症状に合わせて漢方薬を巧みに使い分けておられます。
その方が実に麻黄附子細辛湯をうまく使っていらっしゃったので、備忘録としてのせておきます。

「今日の明け方4時頃に目が覚めたら、背中一体が寒くて身体がとてもだるいのです。これはまずいと思い、急いで無調整の豆乳を温めて、そこに甘酒とシナモンパウダーを入れて、手持ちの麻黄附子細辛湯を1包飲みました。すぐに布団に入って寝てしまい、7時頃に目が覚めた時には身体がすっかり元通りになっていてびっくりしました。
漢方薬ってこんなにすぐに効くんですね。これで手持ちの麻黄附子細辛湯を使い切ってしまったから、買いに来ました」

うーん、実に見事な対応でした。
普段から漢方薬を服用しているので、状況に合わせて何を服用すれば良いのかを心得ていらっしゃるのでしょう。我々はお薬をお出しするところまでしか見ることができないので、このように服用までの状況を伺えるのはとても参考になります。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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