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症例紹介

症例78 上咽頭炎による鼻奥の違和感と鼻づまり

上咽頭は鼻の奥、ちょうど口蓋垂(のどちんこ)の裏側あたりに位置しています。
鼻から吸い込んだ空気には、ほこりやダニ、さまざまな細菌やウイルスなど、体に有害な異物が含まれていることがあります。
上咽頭はこれらの異物と最初に接触する部位で、すぐに炎症が起こりやすい部位といえます。

急性であれば、抗生剤等ですぐに症状を改善したり、自然治癒で炎症が治ることが多いです。
しかし、慢性化すると抗生剤では対処できず、ずっと炎症が残ります。
そのため、鼻水や鼻づまり、咳などの症状に加えて、全身にもさまざまな影響を及ぼす可能性もあります。

今回は比較的軽度の上咽頭炎の症例をご紹介します。


相談者:50代前半 女性
相談内容:鼻の奥の違和感と鼻水がたまって通りが悪い

季節の変わり目や寒暖差が激しくなると、鼻の奥に違和感が生じ、鼻水がたまったような感覚が出ます。
痛みはないのですが、鼻の奥が腫れているようなつまっているような不快感があります。

猫も飼っていて、普段は鼻には何も影響がないのですが、この時期はやけに鼻が過敏に反応してしまいます。
2ヶ月ほどすると落ち着くのですが、毎年同じような症状を繰り返しているので、なんとかしたいです。


この方は、年中不快な症状を抱えているわけではなく、季節の変わり目などのちょっとしたきっかけで鼻炎症状が起こっています。
ですので、上咽頭の炎症があるとしてもそこまで強くはないような印象を受けます。

上咽頭の炎症が強ければ、通年にわたり鼻炎症状が発症しており、以前のコラムで紹介した症例のように症状が強く出ているはずです。

コラム『症例67 慢性扁桃炎と慢性上咽頭炎に漢方薬が奏効』

ということで、今回のケースではそこまで強く炎症をとる必要がなく、上咽頭の炎症をうっすらと取ってくれる「金銀花・連翹・桔梗」などの清熱剤を使った処方をお出ししました。

2週間分をお出ししたところで、すぐに症状が改善して鼻の通りが良くなりました。

本来ならもう少し服用して、完全に上咽頭の炎症をとっておきたいところでしたが、本人の希望により別の症状の改善に切り替えることにしました。

上咽頭炎が慢性化した場合は短期間では症状が取りきれず、数ヶ月要することが少なくありません。
漢方薬は抗生剤ではとりきれない炎症にも、炎症の度合いや組織の損傷度合い、体質傾向などから漢方薬を選定することができます。

もし、上咽頭炎でお困りの場合は、漢方専門の医療機関にご相談してみてください。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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