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雑記

漢方薬局と漢方薬店の違いは?

世の中には「漢方薬局」と「漢方薬店」と呼ばれるものがあります。
お互い一文字違うだけですので、はっきりとした違いを意識された方はあまりいないのではないのでしょうか。

ちょうど「整骨院」と「整体院」があるように、漢方薬専門のお店にも「漢方薬局」と「漢方薬店」での違いがあります。
(ちなみに整骨院と整体院も違いがあります。興味がある方は調べてみてください)

これらの違いは、法律で明確に区分されています。
今まで知らなかった方、これから漢方薬を利用してみようとする方はぜひこれらの違いを意識してお店を探してみてください。

薬局とは?

薬局とは薬機法により、以下のように定められています。

薬機法 第二条
12.この法律で「薬局」とは、薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務並びに薬剤及び医薬品の適正な使用に必要な情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の業務を行う場所(その開設者が併せ行う医薬品の販売業に必要な場所を含む。)をいう。ただし、病院若しくは診療所又は飼育動物診療施設の調剤所を除く。

よくわかる薬機法 / 薬事日報社 P52

ここで大切になっているのは、「調剤の業務」を行えること、「薬剤師が常駐していること」というところでしょう。
薬局には「調剤室」を備えている必要があり、その場所で調剤を行うことができます。

調剤とは?

調剤で一番わかりやすいのは、病院で処方された処方箋に基づいて薬を調製(錠剤をそろえたり、粉薬や塗薬を混合する)するのでしょう。
漢方薬局では、保険調剤業務を行なっていないところもあります(当薬局でも保険調剤は行なっておりません)。
*保険調剤を行うには別途、届出を行う必要があります。

漢方薬局における調剤とは何かと言いますと、
・薬局製剤業務(煎じ薬の製造)
・エキス製剤の分包 など
があります。

この調剤業務こそ、漢方薬局の最大の魅力です。
煎じ薬(湯液)は、病院でも採用しているところは非常に限られており、本格的に漢方薬を試したい方には一番お勧めしております。
*煎じ薬について詳しくは「煎じ薬とは」を参照ください。

漢方薬局のメリット・デメリット
○ 薬剤師が常駐しているので、幅広い情報提供を行なってくれる
○ 調剤業務が行えるので、煎じ薬など「取り揃える漢方薬の種類が豊富」
× 調剤室の完備が必須であるため、店舗のスペースが必要
× 薬剤師が常駐していないといけないので、資格の取得が必要

薬店とは

薬店と呼ばれるものは、「店舗販売業」の許可を得たものになります。
薬局は薬剤師が必ずいなければいけませんでしたが、薬店においては薬剤師は必須ではありません。
「要指導医薬品」や「第一類医薬品」と呼ばれる医薬品を販売しない場合は、登録販売者がいれば問題ありません。

一般にドラッグストアで売られている漢方薬は「第二類医薬品」に該当することが多いので、漢方薬店ではほぼすべての漢方薬の一般用医薬品を販売することができます。

しかし、薬店では調剤を行うことができません。
そのため、取り扱えるラインナップは一般用医薬品(ドラッグストア等で購入できるもの)に限定されており、漢方薬の選択が限定されています。

また、店舗の名称に「薬局」と名付けてはいけません。
多くの場合は、「○○薬店」「○○薬舗」「ドラッグストア○○」などと、名付けられています。

漢方薬店のメリット・デメリット
○ 調剤室が不要のため、小スペースでも開業ができる
○ 薬剤師が必須ではないので、資格がなくても始めることができる
× 調剤業務が行えないので、使える漢方薬の種類が限定されてしまう
× 薬局と名前が紛らわしいので、間違えやすい

まとめ

漢方薬局と漢方薬店は名前が似ていてますが、できることの範囲が異なっています。
ご自身がどのような漢方薬を求めるかによって、使い分けていただければ幸いです。

参考書籍:よくわかる薬機法 医薬品販売制度編 / 薬餌日報社 P51-52

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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