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雑記

患者様との信頼関係 / 患者様のイラスト

「患者は嘘をつく」

以前、どこかの先生が仰っていたお言葉です。
この言葉だけ聞くと患者様が悪者のように思えますが、そういう意味ではありません。

漢方治療でも西洋治療でも、治療をしてすぐに症状が改善するケースもありますが、なかなか改善の糸口が見えないことも少なくありません。

患者様の中には、何度も病院・薬局に通っているのに改善が見られないと、なんだかお医者さんや薬剤師さんに悪いような気がしてしまい、改善していないのに「良くなってきた気がします」と優しさから嘘をつくことがあります。

もしくは、「改善していない」と言うと先生に怒られる(?)のではないかと、恐怖心から嘘をついたり、もうこの病院や薬局に通いたくないから、「良くなった」と告げてもう来ない口実にしたりすることもあります。

時には、「嘘をつくつもりはないのに嘘をついてしまう」こともあります。
これは意図していない嘘のことです。

来院(来局)の間隔は医療機関によって2週間〜2ヶ月くらいかと思います。
*当店は症状が安定するまでは1〜2週間くらいの間隔が多いです。

来院(来局)の間隔が1ヶ月〜2ヶ月ですと、来院(来局)時までの記憶というのはかなり曖昧になってしまいます。
(1〜2ヶ月前の記憶を正確に思い出せませんよね)

そうすると、患者様が記録をつけていない場合、事実と患者様の記憶の間にズレが生じてしまうことがあります。

患者様自身は記憶を元に事実を語っているようで、実は違ったということが起こりえます。
このような場合は、治療者側は「これは事実なのかどうかがわからないな・・・」となってしまいます。

皮膚病のように目で見えるものであれば、皮膚の状態を確認すれば変化がわかるのですが、頭痛やめまいなど目に見えない症状の場合は、困惑することがあります。

これらのことから、医師・薬剤師への気遣いや記憶の曖昧さによって、治療による症状の変化が正しく伝わらないことがあるとのことで、「患者は嘘をつく」という強めのフレーズを使ったのでしょう。

ただ、このような状況になってしまうのは、治療者側と患者様との間での信頼関係がうまく構築できていないために生じているものだと思います。

治療者側と患者様側がなんでも話せる関係性とまでいかなくても、この先生なら正直に話しができるとか、先生が話したことを実践してみようと思っていただける程の信頼関係が築けていれば、誤解を生むようなことは起きにくいはずです。


患者様の中には毎回、毎日の体調の状況や気づきを、時系列で記載されたメモを持参されたり、スマホのメモに記録して、お身体の状態をお伝えしてくださる方がいます。

こうやってメモをとってくださったり、記録を残していただけるのは治療者側にとってとてもありがたいことです。
なにより一緒に治療に参加してくださっているという連帯感もあり、治療がスムーズに進みやすいです。


先日、毎回お身体の状況をメモにして下さる患者様がご自身のお身体の状況や変化をイラストにして持って来てくださいました。
患者様とはお店でしかお会いしないので、日常をどのように過ごして何を思っているのかまでは推し量ることはできません。

このようなイラストを見せていただき、患者様の心情や私がどう映っているのかも知ることができて嬉しかったですし、ストーリー構成が面白くとても温かい気持ちになりました。

「信頼関係は1日にしてならず」ではありますが、これからも日々、漢方家としても人間としても成長を重ねていきたい所存です。

*患者様の許可をいただき、写真に撮らせていただき掲載させていただきます。

ありがとうございました。

天罰

救世主

プロの心得

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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