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治療について

中学生・高校生で過敏性腸症候群が増えている背景

*このコラムの内容は音声配信も行っています。

先日、過敏性腸症候群での漢方薬治療をしている中学生の方がいらっしゃいました。
過敏性腸症候群とは、消化器の疾患がないにも関わらず、腹痛や便秘、または下痢を慢性的に繰り返す病気のことです。

かれこれ半年ほど当店の漢方薬を服用していますが、症状は軽減しており学校生活等での不都合な場面が減ってきているようです。
ただ、漢方薬の服用をやめてしまうと症状が再発してしまうため、現在も継続して服用中です。

そこでお話を伺っていたところ、同じクラスの生徒にも同様の症状に悩んでいる方が少なくとも5〜6人はいるとのことでした。
授業中にお腹がギュルギュルとなってしまったり、何度もトイレに行かなければならない状況は思春期の学生には大変なストレスになります。

このストレスがより一層、過敏性腸症候群を悪化させてしまい、悪循環に陥ってしまう可能性があります。

過敏性腸症候群の漢方薬治療について、詳しくは以下よりご覧ください。

過敏性腸症候群が増えているのは

お腹が張ったり、ガスがたまりやすかったり、ひどい便秘や下痢を繰り返したりする場合は過敏性腸症候群の可能性があります。
日本人の10〜15%は、過敏性腸症候群であるといわれており、男性より女性に多く、特に20歳代~40歳代に多いと言われています。

最近では、中学生〜高校生でも増えているようです。
その原因として考えられるものとして、東洋医学的な視点で見ると以下のことが挙げられます。

【過敏性腸症候群の主な原因】
・ストレス過多
・生活習慣の乱れ  (食生活の乱れ、睡眠不足など)
・冷え
・運動不足
・姿勢が悪い など

ストレスや食生活の乱れ、睡眠不足、冷え、運動不足の影響で生じるのは自律神経の乱れによる「腸の動きの乱れ」および「腸内環境の悪化」です。

また、スマホやパソコンを長時間利用し姿勢が悪くなると、呼吸が浅くなり、ストレスが溜まりやすくなったり、胃腸の機能が低下してしまう可能性があります。

過敏性腸症候群には漢方薬が効果的

過敏性腸症候群は先ほどの原因で取り上げたように現代生活において、起こるべくして起きている病気の一つとも考えられます。
ですので、生活習慣の改善やストレス対策を真っ先に行なっていただくことはもちろんいうまでもありません。

特に冷え対策は、服装やホッカイロ等を活用することで、すぐに効果が得られることもあります。
とはいえ、それ以外の原因については即効性がなく、地道に継続していくことで徐々に効果が現れてくるものです。

そこで、これまでの経験上、漢方薬を併用していただくと改善のスピードを高められるのではないとかと思います。
過敏性腸症候群を東洋医学的に分析しても、一つだけの原因で生じているわけではありません。

過敏性腸症候群の大部分の影響を占めているのはストレスだと考えられがちですが、冷えや胃腸機能の低下などが主な原因になっていたり、原因が複数にわたることも少なくありません。
漢方薬は一律的に用いるわけではなく、原因や体質的な要因から使い分けることで本来の力を発揮することができます。

思春期のお腹の不調は、学校生活の質を大きく低下させかねませんので、もしお困りの場合は漢方専門の医療機関に一度ご相談してみてください。

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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