妊娠中や授乳中は、お母さん自身だけでなく赤ちゃんへの影響も気にしなければならず、薬もどれを服用して良いのかわからないことだらけだと思います。
漢方薬も「薬」に該当するので、注意をしなければならないものがいくつか存在します。
今回は授乳中のお母さんの漢方薬の服用についての解説をしていきます。
「妊娠中の服用を注意すべき生薬・漢方薬 / 妊娠をサポートする生薬・漢方薬」についてはこちらをご覧ください。
授乳中の赤ちゃんへの漢方薬の影響
結論から述べると、授乳中での漢方薬の服用はそこまで気にする必要はありません。
「お薬の母乳移行について」は国立成育医療研究センターのホームページに次のように記載されています。
母乳はお母さんの血液から作られます。お母さんが飲んだお薬は母乳中に分泌されますが、多くのお薬では母乳中に含まれるのはとても少ない量になります。
さらにお薬が含まれる母乳を飲んでも、赤ちゃんの血液に届くまでにお薬の量はどんどん少なくなってしまうので、赤ちゃん自身にお薬の影響がでる可能性はとても低いのです。
月齢が大きくなって離乳食がすすんだり、ミルクとの混合栄養などで赤ちゃんが母乳を飲む量が減ると、お薬の影響はより少ないと考えられます。
国立成育医療研究センター ホームページ
また、乳汁に移行するとされる場合でもお母さんに吸収された成分のわずか1%以下であるため、赤ちゃんへの影響はかなり少ないと考えられます。
ドラッグストアなどで購入できるものや病院で処方される漢方薬を適正に使用するのであれば、多くの場合は授乳中のお母さんが服用しても赤ちゃんへの影響はほぼないといえます。
これらの前提をふまえた上で、しいて注意をするとしたら大黄(ダイオウ)と麻黄(マオウ)の入った漢方薬があげられます。
大黄(ダイオウ)
大黄は排便を促す生薬として、よく用いられます。
「麻子仁丸(マシニンガン)・大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)・大黄牡丹皮湯(ダイオウボタンピトウ)・桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)・通導散(ツウドウサン)・防風通聖散(ボウフウツウショウサン)など
大黄の成分が母乳中に移行して、乳児が下痢をおこす可能性があると言われています。
しかし、国立成育医療研究センターによると大黄の主成分である「センノシド」は授乳中でも安全に使用できると考えられる成分として記載されています。
センノシドは腸内細菌により成分が変化し血中には移行しないため、赤ちゃんへの影響はないとも言われています。
ただ、大黄にはセンノシド以外にも多くの成分を有しているため、一般的には控えた方が良いと考えられます。
麻黄(マオウ)
麻黄に含まれるエフェドリンもごくわずかですが、母乳に移行する可能性があります。
麻黄には覚醒作用があるため、赤ちゃんの睡眠に影響を及ぼす可能性があります。
【麻黄を含む漢方薬】
葛根湯(カッコントウ)・麻黄湯(マオウトウ)・防風通聖散(ボウフウツウショウサン)・麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)・五虎湯(ゴコトウ)・小青竜湯(ショウセイリュウトウ)など
ですが、風邪を引いたり授乳のトラブルになる乳腺炎の時に、麻黄を含む「葛根湯」を用いたいこともあります。
このような場合は、どうすれば良いのでしょう。
内服後4時間以上経過すれば安全ですので、麻黄を含む漢方薬を内服した場合は4時間以上経過してから、母乳を与えると良いでしょう。
『まずはコレだけ!漢方薬』P144
なかなか授乳のタイミングをコントロールできないかもしれませんが、麻黄を含む漢方薬を服用する場合はこの辺も注意しておくと良いかと思います。
母乳の味の変化について
これが一番注意しなければならないことかもしれませんが、漢方薬を服用することで母乳の味が変わることがあります。
男性の方ですが、漢方薬を服用してから漢方薬の体臭がすると家族に言われた方がいらっしゃいました。
漢方薬だけに限らず、食べ物や飲み物も吸収された後に血液中に移行して母乳の成分になります。
この母乳の味の変化で、赤ちゃんが授乳を嫌がるようになることも起こり得るかもしれません。
まとめ
授乳中で注意する漢方薬についてご紹介しました。
産後は出産による体力消耗(気血の損傷)、また育児の開始で心身ともに体への負担が大きくなる時期です。
そのような時に、漢方薬は体をサポートする大きな力になってくれます。
しかし、授乳を通して赤ちゃんへの影響に注意をしなければいけません。
また、誤った薬の使い方をしてお母さんの体調が悪くなることで、赤ちゃんに影響が出てしまう可能性があります。
とはいえ、母乳への漢方薬の移行は少ないため、多くの漢方薬では大きくは問題にはならないと考えられます。
ですが、授乳している場合は、必ず医師や薬剤師等の専門の方に指示をあおいでから服用した方が良いかと思います。









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