漢方は教科書通りにいかないものである。
以前に「漢方薬はデータや教科書に書かれていることがすべてではない」
という記事も書きました。
いくら、理論的にはこうだから、
この漢方薬が有効であるといっても、
効果が出ないこともあるし、
反対に理論とは違うけど、
効いちゃったということもしばしば経験します。
単純に自分自身の患者様の見立てが
誤っていただけということも
言えるかもしれませんが、、、
そんなことを実感した症例です。
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70代 女性
力む時、咳やくしゃみ、
仕事帰りに気を抜いて歩いている時に尿が漏れてしまう。
いわゆる「腹圧性尿失禁」です。
腹圧性尿失禁とは、尿が漏れないように
引き締めている筋肉(骨盤底筋)が緩んでしまい、
力が入った時に、尿道を引き締めることができずに、
尿が漏れ出てしまう病気です。
排尿トラブルはなかなか人には言いにくいですし、
病院に通って、知り合いに出会してしまうのも
嫌なものです。
普段から、骨盤底筋を鍛える引き締め運動を
ご自身でされているのですが、
なかなか改善せず、いよいよ手術になってしまっては
嫌だということで、
漢方薬でなんとかならないかという相談です。
こういった場合の治療セオリーとしては、
緩んでしまった、骨盤底筋を引き締めるために、
八味丸や補中益気湯がファーストチョイスに上がります。
事実、最初は私も八味丸をお渡ししました。
ところが、効果がありません。
教科書通り、セオリー通りにいかないケースです。
そこで、発想を変えて、
筋肉の収縮弛緩の異常であると考えて、
別の漢方薬に変更したところ、
徐々に効果が現れてきました。
(処方は内緒です★)
ただし、完全になくなるわけではありません。
最初を10とすると、3〜4まで抑えられるレベルです。
年齢依存的な筋肉の衰えや異常は、
完全に薬で元に戻りことは多くはありません。
頻度や強度をある程度抑える程度(5割程)を
一つの目標としています。
今後ひょっとしたら、
もっと軽減するかもしれませんが、
数ヶ月服用して、
今は状態が安定しています。
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というわけで、
セオリー通りに漢方治療がいかない場合は、
・新しい発想や考えを応用できるのかどうか、
・患者様のやり取りで見落としがないか
この辺りに注意を向けると、
効果が得られるのではと、
実感しました。
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