膀胱炎とは
膀胱炎の多くは、膀胱に細菌が感染することによって発症します。
ただし、細菌に感染してもほとんどの場合は排尿することで細菌を追い出すことができます。
しかし、以下のように排尿量が少ないと細菌が居座ってしまい膀胱炎が発症します。
- 「トイレをがまんする」
- 「トイレにいけない環境」
- 「水分不足」
- 「冷える」
加えて、細菌を排除する免疫力の低下が生じることでも発症しやすくなります。
- ストレス
- 疲労
- 術後や長引くかぜ
- ホルモンバランスの変動 など
膀胱炎の主な症状
- 排尿痛:ツーンとした痛みを排尿後に伴います
- 残尿感:尿を出し切ったのにスッキリしない、残っている感じがします
- 尿の混濁:白濁や血尿を伴うことがあります
- 頻尿:排尿の頻度が高まり、30分〜60分おきにトイレに行きます
膀胱炎の漢方症例
コラム「症例85 膀胱炎の初期症状に漢方薬が奏功」
膀胱炎の漢方薬治療
一般的に膀胱炎は痛みや混濁尿、頻尿などの症状がある急性膀胱炎のことを指します。
急性膀胱炎の場合は、「抗生剤」を内服することで治ることがほとんどです。
しかし、抗生剤で改善しても一時的なもので、再発を予防することはできません。
また、抗生剤の副作用がつらくて内服できない場合もあります。
一方の漢方薬は「急性症状」だけでなく、「再発予防」や「薬による副作用を減らす」ことが可能です。
漢方薬では、急性膀胱炎の場合は炎症を鎮めて、症状を軽減させる漢方薬を用います。
症状が落ち着いてからは、体質改善の漢方薬へと切り替えることで、再発を予防します。
急性症状と体質改善の漢方薬を使い分けることで、膀胱炎の根本的な治療を行うことができます。
五淋散
急性膀胱炎の第一選択となる処方です。
急性膀胱炎の主要症状の「排尿痛」「混濁尿」「頻尿」は、東洋医学的には「湿熱」と呼ばれる病態です。
五淋散は膀胱の湿熱を改善することで、急性膀胱炎を素早く鎮静化することができます
猪苓湯
同じく急性膀胱炎に用いる処方です。
猪苓湯は「血」に配慮された阿膠と呼ばれる生薬が配合されています。
そのため、素体が陰虚タイプで小便の出が悪く、のどが渇きやすい傾向にあります。
竜胆瀉肝湯
薛氏竜胆瀉肝湯は五淋散とほぼ同じ処方構成で急性期の膀胱炎に効果的ですが、五淋散より炎症が強く、尿色が濃く、血尿が出るような時に有効です。
しかし、排尿痛に対する配慮がとぼしいので、排尿痛を伴う時は五淋散を用いるか、他の漢方薬を併用することが望ましいです。
一貫堂の竜胆瀉肝湯は、慢性期や再発を繰り返す膀胱炎の体質改善薬として用いられます。
苓姜朮甘湯
膀胱炎のそもそもの原因は、冷えやトイレを我慢することになります。
下半身が冷えるとトイレが近くなります。これを頻繁に繰り返すことで膀胱炎を起こしてしまいます。
苓姜朮甘湯は下半身の冷えを改善することで、膀胱炎の予防に働きます。
軽度の排尿の不快感にも対応可能です。
清心蓮子飲
疲労も膀胱炎の原因になります。
五淋散のように炎症をとる力が弱いものの、軽度の膀胱炎症状や疲労が強い場合や尿の切れが悪い時に有効です。
芍薬甘草湯
芍薬甘草湯を単独で使うことはありませんが、排尿痛が強い時に他の処方と一緒に使うことで膀胱の痛み(筋肉の収縮痛)を軽減することができます。
加味逍遙散
神経性の膀胱炎に用います。
頻繁にトイレに行くものの出にくく痛みを伴います。
また、残尿感もあります。
精神的なストレスで発症し悪化する場合に有効です。
炎症をとる作用が弱いので、炎症が軽度な膀胱炎に効果的です。
おわりに
膀胱炎は対策を取らないと、何度も再発する場合があります。
漢方薬は膀胱炎の治療のみならず、予防も行うことができます。
何度も膀胱炎になってしまうと、気軽にお出かけができなくなったり、抗生剤を多量に使うことになってしまい、腸内環境を悪化させたり、膀胱炎を長期化させてしまうおそれがあります。
ぜひ、膀胱炎でお悩みの方は漢方専門の医療機関にご相談ください。








