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便秘症とは

便秘とは、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。そのため、便秘は単に排便回数の少なさを表しているだけでなく、便の硬さやいきみ、残便感などの周辺症状も関わっているとされています。
また、便秘症は膨満感や腹痛などの腹部の症状だけにとどまらず、腸内の毒素が身体全体にめぐることで、体臭が強くなったり、肌ツヤが悪くなったり、ニキビなどの肌荒れを起こすこともあります。他にも、めまいや吐き気などの自律神経に関わる症状を引き起こす可能性があります。

便秘症を自覚している方は日本人の3.5%程です。65歳以上では6.9%、また男女別では男性2.5%に対して女性4.4%となっています(2019年時点)。便秘は加齢により増加し、若いうちは女性に多くみられますが、高齢者では男女差がありません。一方、便秘は不快さを伴うものの命に直結するほどではないこと、また市販薬でも対応することができることから、医療機関の受診率も4割に届かないのが現状です。

本来大便は身体(腸内)の不要な毒素を排出する大切な生理活動の一つです。便がスッキリと出ないということは身体に毒素を溜め込むことになります。そのような状態が長く続けば、腸内環境はもちろんのこと全身にも毒素が広まり、体調を損なうことになります。

ですので、便秘は身体からのSOSのサインだと認識して、早めに改善へと取り組むことが大切です。まずは生活習慣を改めて、必要に応じてお薬を併用することで、健康な腸内環境を取り戻しましょう。それでも改善しない場合は、別の病気が要因となっている場合もあるので、一度医療機関で診てもらうことも大切です。

参考
慢性便秘症診療ガイドライン2017(日本内科学会雑誌第109巻第2号)
2019年 国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)
便秘解消講座(健栄製薬)

便秘症の分類

通常、食べたものは胃や小腸で消化され、大腸にてゆっくりと水分を吸収することで適度な固さになります。その後、大腸の蠕動運動により肛門へと運ばれることで便意を催し、排便が促されます。もし、便の塊が大腸内にとどまり続ければ、水分はどんどん吸収されてしまい、便は固く小さくなってしまいます。

このような便秘を引き起こす要因は、食生活やストレス、ホルモンバランスの変化、筋力の低下などがあげられます。便秘症は発症のメカニズムによって、「器質性便秘・機能性便秘・薬の副作用」に分けられます。

1)器質性便秘

生まれつきの場合や、なんらかの原因で大腸自体の形状が変化したことで生じる便秘のことです。大腸がんや腹腔内の腫瘍、腸閉塞(イレウス)などの腸に原因がある場合と子宮筋腫などにより、腸が圧迫されて便の通りが悪くなり便秘となる場合もあります。この場合は便秘を改善するよりも、その原因となっている病気そのものを優先して治療する必要があります。

2)機能性便秘

大腸の狭窄や形の異常をともなわず、排便にかかわる機能が低下したことによる生じる便秘になります。機能性便秘はさらに痙攣性便秘・弛緩性便秘・直腸性便秘に分類されます。

痙攣性便秘

大腸の過度な緊張によって、腸が異常収縮をしたり痙攣することで、便がうまく肛門まで運べなくなってしまった状態です。そのため、便は細くなるか兎の糞にようにコロコロとした形になります。腹痛や残便感をともないやすく、過敏性腸症候群(IBS)やストレスが発症の要因となります。
*過敏性腸症候群については、下記の記事をご参考ください。
参考:過敏性腸症候群(IBS)の漢方薬治療

弛緩性便秘

大腸の緊張が低下したことで、蠕動運動(腸が動いて便を運ぶ)がおとろえます。その結果、便が腸内に停滞して、便秘となります。女性や高齢の方で、お腹の筋力が弱い方に起きやすいです。

直腸性便秘

本来なら便がたまると便意を催すはずが、普段から便意を我慢したり行きたい時間に行けなかったりすると、排便が促されずに直腸(大腸の最終部で、最も肛門に近い部位)に便が停滞してしまう状態のことです。学校や仕事などが忙しかったり、恥ずかしがって排便を我慢してしまう方に生じやすいです。

参考
もっとよく知る!病気ガイド「慢性便秘症」(兵庫医科大学病院)
便秘の原因」くすりと健康の情報局(第一三共ヘルスケ)

一般的な便秘治療

一般的な西洋薬治療では、刺激性の下剤か非刺激性の下剤にて便秘を解消します。

刺激性下剤小腸や大腸を直接刺激して、腸の蠕動運動を亢進することで、便を排出させます。
ex)センノシド、センナ、ダイオウ
非刺激性下剤腸内に水分を移動させることで、便を柔らかくして排便を促します。
耐性がつきにくいのが特徴です。ex)酸化マグネシウム

これらの薬はあくまでも対症療法的な治療法になります。そのため、合わせて便秘の原因となっている生活習慣やストレスなどの根本の原因を改善しない限りは、いつまでたっても便秘薬を手放すことはできません。

漢方の便秘症の分類

当薬局には、便秘の改善を目的としていらっしゃる方は多くはありません。しかし、問診にて便の状態を確認すると、便秘を抱えている方は少なくありません。患者様ご自身は、便秘をそこまで気にしていない場合もありますが、実は便秘が治したい症状の原因となっていることがあります(たとえば、ニキビや頭痛、メンタル不調など)。そのため、たかが便秘と思っていても、あなどれません。

漢方で治療する場合は単に下剤を用いるだけではなく、便秘の病態に合わせて体質改善をしていくことを目指します。ここでは4タイプ(痙攣性便秘・習慣性便秘・弛緩性便秘・腸の乾燥性便秘)に分けた漢方薬の治療法をご紹介します。

1 痙攣性便秘の漢方薬治療

ストレスやホルモンバランスの変動、過敏性腸症候群などの原因により、大腸がけいれんして便が停滞してしまうタイプになります。腸の痙攣により、腹痛が生じたり、ガスがたまって膨満感が出て苦しかったりします。また、便の出も悪く、出ても細い便であったり、排便後もスッキリせず、残便感も生じます。

このタイプの便秘は腸が緊張して固まってしまい、しなやかさを失った状態です。漢方ではこの状態のことを気滞(キタイ)と呼びます。

気滞(キタイ)

「気」は全身をめぐっていて、全身を動かすエネルギー源となります。この「気が停滞した状態」が「気滞」です。ですので、気滞が生じると、気の働きによって動いていた大腸は固くなって動かなくなってしまいます。
それ以外にも、気分も停滞して精神状態が悪くなる(イライラや落ち込みなどの情緒不安定)こともあります。

漢方の治療では、柴胡(サイコ)・芍薬(シャクヤク)・枳実(キジツ)などの気を動かす生薬を用います。これにより、腸の痙攣を緩めることで腸の蠕動運動を正常に戻します。痙攣性の便秘を改善すると同時に、精神不安を軽減することもできます。

2 習慣性便秘の漢方薬治療

習慣性便秘は、直腸性便秘のことです。普段から排便の習慣がないために便意をもよおさず、数日経ってもまったく便が出ない状態のことです。この場合は西洋医学の治療と同様に、まずは毎日決まった時間に排便をつけさせることが大切です。そのために、漢方でも排便を促す大黄(ダイオウ)・芒硝(ボウショウ)などの生薬を用いて、便意をつけます。排便の習慣がつけば、次第に薬を減らしていき自然なリズムで便が出るようにしていきます。
合わせて、定期的な運動や食事の見直しなどの生活習慣の改善も必要です。

3 弛緩性便秘の漢方薬治療

加齢や筋力の低下により排便する力がなくなってしまい、便秘になってしまう方です。漢方では、気虚(キキョ)に分類されるタイプです。

気虚(キキョ)

「気」は身体のエネルギー源になります。気が不足すると、全身の倦怠感や脱力感が生じます。気の作用は内臓にもおよび、胃腸を動かす働きにも影響を及ぼします。気虚になると体力が落ちて、ちょっとしたことですぐに疲れてしまいます。食べる量も少なくなるため、よりいっそう全身のエネルギーが乏しくなります。気虚の場合は、1週間くらい排便がなくても、腹痛やお腹の張りなどの症状が出ないことが多いです。

漢方薬では、人参(ニンジン)・黄耆(オウギ)・当帰(トウキ)などの気力を高めたり、腸の血流をよくする生薬を用いることで、排便を促していきます。また、日頃から気を補うために運動や食事を気をつけてもらう必要があります。

4 乾燥性便秘の漢方薬治療

腸の水分がかれてしまい、便が硬くなってしまうタイプです。腸に水分が不足しているわけですから、大便はウサギのフンのようにコロコロとして乾燥して少量しか出ません。高齢の方や産後や生理などで血(水)が不足してしまった方に生じやすい便秘です。漢方では、血虚(ケッキョ)・陰虚(インキョ)に分類される便秘になります。

血虚(ケッキョ)・陰虚(インキョ)

血や陰は「身体を潤し栄養する」作用があります。血は全身をめぐって、肌や爪、髪、目、筋肉などのあらゆる部位を潤して、栄養します。そのため、血や陰が不足した血虚や陰虚では、全身の潤いが失われてしまいます。当然ながら、腸の水分も少なくなってしまうため、便が固くなってしまいます。
他にも腸以外に、以下のような症状が併発します。
・皮膚がガサガサになる
・髪の毛のツヤがなくなったり、パサついたりする
・のどが乾燥する
・生理の出血量が減少
・脚がつりやすくなる(筋肉の硬化)
・爪がもろい、割れやすい

漢方薬では、麻子仁(マシニン)・杏仁(キョウニン)・桃仁(トウニン)・地黄(ジオウ)・当帰(トウキ)といった血や陰を増やし、腸を潤す作用の生薬を用います。
合わせて食事にも気をつけて、オリーブオイルや卵などの良質な油を摂るようにしましょう。

便秘症に用いる漢方薬

「痙攣性便秘・習慣性便秘・弛緩性便秘・乾燥性便秘」のそれぞれに効果的な漢方薬をご紹介します。

大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)
習慣性便秘に効果的
大黄甘草湯は、大黄(ダイオウ)と甘草(カンゾウ)の2味からなるシンプルな処方です。本来は食後に胃腸がつまり、吐き気が生じた時の吐き気止めとして用いられていた処方です(便を出すことでつまりを改善させる)。しかし、現在ではもっぱら下剤として利用されており、漢方薬だけでなく市販薬にも配合されていることがあります。
・大黄:腸の蠕動運動を高めて、腸のつまりを改善します
・甘草:大黄の刺激を緩和して、腹痛を抑えます
習慣性便秘により排便習慣がない方に、便意をつけさせる目的で用います。ただし、あくまでも対症療法の薬として用いて、合わせて生活習慣の見直しを行う必要があります。
大承気湯(ダイジョウキトウ)
小承気湯(ショウジョウキトウ)
調胃承気湯(チョウイジョウキトウ)
突発的な便秘(例外)・習慣性便秘(一時的な使用)
これらは、陽明病の胃家実に適応する処方になります。熱病にかかることで胃腸に熱がこもり、胃の水分が乾かされてしまい、便秘となってしまった状態に用います。これらの処方が適用となる方は日頃から体力旺盛であるため体内に熱がこもりやすく、その結果高熱にうなされることもあります。大便が出ないため、お腹がパンパンに張って苦しくなります。大承気湯は作用が激しいため、胃腸が弱い方に用いると激しい下痢にみまわれて、体力を著しく損なう恐れがあるので、注意が必要です。便の硬さや症状の強さにより、これらの処方を使い分けます。
四逆散(シギャクサン)

痙攣性便秘に効果的
柴胡(サイコ)・芍薬(シャクヤク)・枳実(キジツ)・甘草(カンゾウ)の四味からなる処方です。柴胡+芍薬+枳実は気のめぐりを改善して自律神経を整えます(腸の動きを整える・気持ちを穏やかにする)。そこに芍薬+甘草にて、大腸の痙攣を緩めて腹痛をとめ、腸の動きを柔軟にします。枳実(キジツ)は腸の蠕動運動を亢進することで、便の流れを作り痙攣性便秘を緩和することができます。同時に、普段から神経質で緊張している精神も解きほぐすことができます。

大柴胡湯(ダイサイコトウ)

痙攣性便秘に効果的
『勿語薬室方函口訣』の大柴胡湯に「少陽の極地に用いる」とあるように、鬱した熱が胃に迫らんとする状態に適します。これは先に述べた、四逆散と承気湯(大承気湯・小承気湯・調胃承気湯)の中間に位置している処方だといえます。そのため、日頃から食欲旺盛で体格もしっかりとしている方が多いです。常に精神的なプレッシャーと隣り合わせにいるような緊張感をまとっており、ちょっとしたことでイライラが爆発してしまうこともあります。大柴胡湯は全身の緊張を解きほぐし、排便を促すことで便秘を改善します。

逍遥散(ショウヨウサン)・加味逍遥散(カミショウヨウサン)

痙攣性便秘に効果的
気滞により、便通に異常をきたした方に用います。柴胡(サイコ)+芍薬(シャクヤク)+当帰(トウキ)を含み、気の流れを整えると同時に血流を改善する作用があるため、月経に関連した便通異常(月経前に便秘になりやすい方)に効果的です。また、イライラや情緒不安定などのPMSにも適応するため、便秘だけではなく月経に関連した症状の改善にも効果が期待できます。

桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)
痙攣性便秘に効果的
『傷寒論』に「太陰病、腹満して時に痛む者」これに桂枝加芍薬湯を用いています。この条文を応用して、痙攣性の便秘や腹満に効果を発揮します。面白いことに、この処方は下痢にも便秘にもどちらにも使うことができます。桂枝加芍薬湯はただ排便を促すだけではなく、腸の蠕動運動を整える(正常に戻す)作用があるため、下痢にも便秘にも効果を発揮しているものと思われます。
この処方のタイプは日頃から疲れやすく、身体が筋張っており、冷え易い傾向にあります。
補中益気湯(ホチュウエッキトウ)
弛緩性便秘に効果的
身体の筋肉が軟弱で筋肉にしまりがなく、すぐに疲れてしまうタイプの便秘に効果的です。高齢や産後、病後などで体力が落ちて、胃腸の働きが鈍くなってしまった「気虚」タイプの方が適応となります。補中益気湯は気力を底上げして、胃腸に力をつけることで便通を促します。
十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)

弛緩性便秘・乾燥性便秘に効果的
この処方を用いる方は、気力や体力の衰えに加えて、全身の肉も削がれてしまい身体がやせ細ってきています(気虚+陰虚)。また、身体のおとろえとともに、血虚や陰虚が現れて腸内が乾燥してきます。そのため、「排便する力のおとろえ」+「潤いを失くしたコロコロとした固い便」の方に適応となります(補中益気湯タイプに乾燥性便秘が加わった状態)。

大建中湯(ダイケンチュウトウ)
痙攣性便秘に効果的
冷えによる蠕動運動の異常に用いる処方です。山椒(サンショウ)・乾姜(カンキョウ)がお腹を強力に温めて緊張を解きほぐし、同時に人参(ニンジン)・膠飴(コウイ)で胃腸を力づけて腸に動きをつけます。大腸の術後で腸が癒着したり、腸閉塞により腸の通りが悪く、逆流して吐き気を催すものに効果的です。ただし、この処方は温める作用が強いので、冷えがあることを確認してから用いる必要があります。
麻子仁丸(マシニンガン)
乾燥性便秘に効果的
麻子仁(マシニン)・杏仁(キョウニン)の油性に富んだ生薬が腸内を潤します。また、大黄(ダイオウ)・厚朴(コウボク)・枳実(キジツ)で腸の蠕動運動を刺激して、排便を促す作用があります。習慣性便秘をかね備えており、いきんでもカチカチのウサギのような便が少ししか出ないような高齢の方や陰血が不足したものに適応となります。
潤腸湯(ジュンチョウトウ)
乾燥性便秘に効果的
麻子仁丸と同様に、腸内乾燥性便秘ならびに習慣性便秘に用います。麻子仁丸より地黄(ジオウ)・当帰(トウキ)・桃仁(トウニン)などの、腸内を潤す作用が強く、なおかつ全身を潤して栄養する作用が強化されており、麻子仁丸のいっそう虚証(おとろえたもの)に用います。
防風通聖散(ボウフウツウショウサン)
習慣性便秘に効果的
内臓脂肪を落としたり、ダイエットの宣伝文句で売り出されている市販薬の中にはこの処方が使われていることがあります。漢方では「食毒」と呼ばれる体質(普段から食欲旺盛で胃腸が強く、多量の食事により余分なものをためこんでしまう)の便秘に用います。この処方は、毒素を大便だけでなく、発汗、小便などから排出する作用があります。肥満体型でなくても使用することができますが、作用が強い生薬を多く含むため、身体が虚弱な方や胃腸が弱い方には不向きです。

便秘症の養生

便秘症の改善には、薬だけに頼らずに生活習慣の改善も行うことが必須です。とりわけ習慣性便秘の場合は、薬の耐性ができてしまう恐れもあるので、あくまでも対症療法的に用いて、その間に生活習慣の改善を行いましょう。

食養生

便は食べた物から生じるので、食事内容は便の状態にダイレクトに影響します。基本はバランスよく食べることですが、とりわけ便秘の改善に必要なものは、「食物繊維・発酵食品・潤いに富んだ食材」の摂取になります。

1 食物繊維

食物繊維は、ヒトの消化酵素では消化されない食物中の成分のことです。そのため、胃や小腸では分解されずに大腸まで到達し、腸内細菌の栄養となります。その結果、善玉の腸内細菌が増殖して腸内環境が整います。

厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、一日あたりの食物繊維の「目標量」は、18~64歳の男性で21g以上、女性は18g以上となっています。しかし、日本人の平均食物繊維摂取量は1950年代には一人当たり1日20gを超えていましたが、食生活の変化により年々減少しており、現在では1日14gになっています。

食物繊維は植物性食品に多く含まれています。ですので、まずは野菜や果物を今の食生活に一品加えることから始めてみましょう。食品ごとに含まれる食物繊維は異なっているので選ぶのも大変ですが、まずは深く考えすぎずにキノコ類から一品、野菜類から一品好きなものを今の食生活に追加してみてください。なるべく、同じ食材ばかりに偏るのも良くはないので、バランスよく摂取するようにしましょう。

参考:「食物繊維の必要性と健康」e-ヘルスネット(厚生労働省)

2 発酵食品

腸内環境を整えるには、発酵食品(腸内細菌そのもの)を食べることも、腸内環境を整えるのに効果的です。発酵食品はヨーグルトや納豆、味噌、キムチなどお手軽に買えるものばかりですので、取り入れやすい食材かと思います。お手軽に買える反面、腸内環境に合う合わないがはっきりと出る場合もあるので、自分に合うものを見つけることが大切です。食べて調子が悪くなるようでしたら、別のタイプのものに変えましょう。特にヨーグルトはさまざまなバリエーションが出てますので、2週間〜1ヶ月くらいを目安に便通やお腹の張りなどに変化がないかを確かめてみてください。

3 潤いに富んだ食材

オリーブオイルやゴマ、ハチミツ、ナッツ類などは腸内を潤して、便を柔らかくする働きがあります。コレステロールや体重が気になるからといって、極端に油を避けてしまうのは良くありません。良質な脂質はむしろ積極的に摂るようにしましょう。また、適度に水分を摂る潤いをつけるようにしましょう。

運動習慣をつける

コロナ以降は在宅ワークが浸透したり、オンラインでの授業や講義など、外に出なくても仕事をしたり余暇を楽しんだりすることができるようになりました。それ自体はとても喜ばしいことですが、反面体を動かす習慣が減ってしまった方も少なくはないでしょう。
体を動かせば血流が良くなって緊張がほぐれるように、腸の蠕動運動も促されます。散歩程度でも構わないので、毎日外に出て体を動かす習慣を身につけましょう。
また、手でおへそ周りを時計周りにゆっくりと押して刺激してあげることも、腸の蠕動運動を改善するのに効果的です。

排便習慣をつける

習慣性の便秘の方は、毎日決まった時間に排便をすることを脳に覚えさせる必要があります。最初は下剤などを服用しながら、同じ時間にトイレに行く習慣をつけてください。たとえ、出そうになくてもトイレに入ってください。次第に毎日決まった時間に出るようなりましたら、徐々に薬を減らしていき、最終的には薬に頼らずに排便できるようになることを目標としましょう。

睡眠・ストレス対策

自律神経を整えるのは、毎日決まった時間に就寝・起床を繰り返すことが大切です。休日に平日分の睡眠不足を解消しようと、寝溜めをしてしまうと、自律神経が乱れて腸の蠕動運動のリズムが乱れてしまうこともあります。
同様に過度なストレスは自律神経を乱して、便秘につながることがあります。個々人によって、最適なストレス解消法は異なると思いますので、自分が落ち着く方法で適度に息抜きをしましょう。もし、なにをすれば良いかわからない方は運動をおすすめします。身体を動かすことで、ストレス発散するだけでなく、腸の動きを改善してくれます。また、日中に活動することで、夜の睡眠の質を高めることもできます。まさに、一石三鳥です。

おわりに

便秘とは、体の中に不要なものをためこんでおいた状態のことです。たとえるなら、「部屋の中に生ごみをずっと放置しているようなもの」です。想像しただけでも、いやですよね。同じように、便秘は身体の中に毒素をばらまき続ける行為なのです。残念ながら、便秘になっても習慣化してしまうと、それが当たり前になってしまいます。そうなると、気付かぬうちに身体を蝕み続けてしまうことになります。

排便がきちんとあるということは、健康の一つの指標です。もし、便通に異常が出てきましたら、それは身体が悲鳴を上げているサインです。見過ごさずに、早めに改善しましょう。

便秘薬だけに頼らずに、根本的に胃腸の状態を整えたい方や便秘以外にも不調を抱えている方、漢方薬に興味ある方などのご相談をお待ちしております。

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