漢方について

漢方薬と西洋薬の飲み合わせについて

漢方薬と西洋薬がどの程度、

影響しあっているのかは未知の部分が大きいです。

と言うのも、

漢方薬は複数の生薬から成り立っていて、

さらにそれぞれの生薬にも多くの成分が含まれています。

例えば、野菜のニンジンには

βカロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、カリウム、鉄分・・・

といったように多くの成分が含まれています。

生薬も根や葉などの植物を用いることが多く、

野菜のように複数の成分を含んでいます。

ですので、西洋薬のようにハッキリとした

単一成分ではなく、より複雑な状態を呈しているので、

西洋薬との飲み合わせによる副作用は断定しづらいと

考えられます。

その中でも注意が必要だと思われるものを

まとめておきます。

注意が必要な漢方薬と西洋薬の飲み合わせ

・小柴胡湯 - インターフェロン製剤

 →間質性肺炎の恐れがあるので禁忌

・甘草 - ループ利尿薬やチアジド系利尿薬

 →低カリウム血症、高ナトリウム血症、むくみの恐れ

・石膏  - テトラサイクリン系抗生物質

 →消化管吸収を抑制する恐れ

(参考『いまさら聞けない生薬・漢方薬』)

他にも、

桂皮(ケイヒ)や牡丹皮(ボタンピ)が

代謝酵素CYP3A4を阻害するとして、

ベンゾジアゼピン系(エチゾラム、アルプラゾラムなど)の

血中濃度をあげてしまう恐れがあると指摘されています。

実際はどうなのか?

以上、今のところわかっている相互作用を述べましたが、

実際どれだけの影響があるのかは未知数です。

というのも、エチゾラムなどは不眠や不安などに

使用されますが、

その際に、牡丹皮を含む加味逍遥散(カミショウヨウサン)や

桂皮を含む柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)などは、

メンタル不調に用いられることが少なくありません。

両者とも気持ちを落ち着かせる方向に作用するため、

これらを併用したから、相互作用で効果が強く発揮されて、

気持ちが落ち着いたのか、それとも両者の働きがそれぞれ

効果を発揮して症状が緩和されたのかは判断が難しいからです。

ですので、いたずらに怖がったり、

反対に漢方薬と西洋薬は別物だから大丈夫だと

決めつけたりするのもどうなのかと思います。

まだまだわからないという前提で、

何か異変が起きたら、すぐに使用をやめたり

医療者に連絡できるような

信頼関係を作ることが大切です。

薬を出したら終わりではなく、始まりです。

細かい情報を見逃さずに、

しっかりと診ていただける医療機関を

ぜひお探しいただければと思います。

今井 啓太

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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