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症例紹介

症例9 顔にできる化膿性皮膚疾患

皮膚病は漢方薬の得意とする分野の一つです。

アトピー性皮膚炎や蕁麻疹など、

再発を繰り返すような方は、

根本的に解決したいという一心で、

漢方薬をお求めになられます。

今回の症例は再発を繰り返す化膿性湿疹のご相談です。

決してスマートに治ったわけではなく、

もっと良い手段があったかもしれない・・・

そんな症例です。


60代女性

主訴:化膿性湿疹

昨年の8月から鼻中に炎症が起こるようになりました。

その後、完治したと思われるも、

再発して、鼻中だけでなく、

鼻の周りや目の周りにも

目やにのような白〜黄色のべたっとした膿が

出てくるようになり、来局されました(昨年9月末)。

痛みはなく、少し赤みがあり、痒みも伴う、

病院では抗生剤の内服と外用薬を使用しています。

まずは、化膿性疾患であり、

炎症の度合いも強くないことから、

体表の炎症を取り除くため、

荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん)を用いました。

2週間程用いるも、効果はまあまあといった感じ。

もっと効いていても良いはずだが、

と思うも再度詳しく話を伺ってみました。

そうするとちょうどその頃、引っ越しや孫の世話などで忙しく

疲労し、体重も3kg落ちていたようです。

化膿性疾患の場合は単に患部の炎症を抑えるだけで良い場合と

それだけでは不十分な場合があります。

今回は後者の場合で、膿を出すのに必要な体力が不足していることで、

荊防敗毒散だけでは膿を排出することができなかったのだと考えられます。

そこで、膿の排出を促すために、体力をつける漢方薬に変更しました。

少しずつ改善して、12月にはすっかり改善しました。

しかし、その後何度か再発を繰り返し、

段々と弱くなっていき、治療を終えました。

最終的には治ってくれたのですが、、、

もっと早く改善できたのではないかと思っています。

治療途中に何度か漢方薬を変更してしまったのが反省点で、

一貫して体力の底上げと炎症を抑える漢方薬を使い続ければ、

もっと早く治せたのかもしれません。

漢方薬はずっと飲み続けることで、

効果を発揮できる側面もありますが、

いかに最短ルートで治療できるかも、

大事なことです。

ベターではなくベストの治療ができるよう

さらに精進しなければと

考えさせられる症例でした。

再発性の皮膚疾患でお悩みの方は

ぜひ漢方専門の医療機関にご相談ください。

今井 啓太

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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